パナソニック コネクトは2月19日、SnowflakeのAIデータクラウドを活用した非構造化データを扱う業務効率化の取り組みを発表。同日、Snowflakeと共同で記者説明会を開催した。
冒頭、Snowflakeの武市憲司氏は、日本の製造業を取り巻く環境について「かつてないほど不確実性が高く、少子高齢化による熟練技術者の知見(暗黙知)の継承が急務である」と指摘。その解決策として、クラウドによるデータサイロの解消と、生成AI・機械学習の活用を提言した。
武市氏は、「データ戦略なくしてAI戦略なし」という原則を強調する。工場、生産管理、マーケティングなど、製造業に散在する膨大な構造化・非構造化データを統合管理して初めて、AIは真の価値を生む資産へと変わるという。Snowflakeは、セキュリティとコンプライアンスを担保しつつ、これらすべてのデータを単一プラットフォームで扱える「AIデータクラウド」を提供することで、データ分析の民主化を支援している。
続いて登壇したパナソニック コネクトの渡邉勇太氏は、同社のデータ戦略を語る上で欠かせない要素として「カルチャー変革」を挙げた。同社では2017年の樋口泰行氏の社長就任以来、「カルチャー&マインド」の改革を最優先事項として掲げている。渡邉氏は、「IT施策を単に導入するのではなく、現場の従業員が主体的にデータを使い、意思決定に活かす文化がなければ、DXは根付かない」と断言した。
パナソニック コネクト株式会社 IT・デジタル推進本部
AI & Data プラットフォーム部データマネジメント課 渡邉勇太氏
同社のデータ戦略の核心は、サイロ化された40以上のシステムからデータを集約し、Snowflakeを「シングル・ソース・オブ・トゥルース(SSOT:唯一の信頼できる情報源)」として機能させることにある。これにより、グローバルなバリューチェーンを横断した分析や、AIによる高度な意思決定支援を可能にしている。
今回の発表では、Snowflakeの「Cortex AI」とアプリケーション開発フレームワーク「Streamlit」を組み合わせた、2つの具体的なAIエージェント事例が紹介された。
1. カスタマー分析エージェント(顧客満足度調査の高度化)
毎年、膨大な顧客満足度調査を実施しているが、自由記述コメントの分析には、かつて年間200時間を要し、分析者の主観によるブレも課題だったという。
Snowflake上でLLMを活用した要約・分類機能を実装した結果、作業時間は200時間から20時間へと90%削減。客観的な分析が可能になったことで、報告・レビューの回数も減り、業務の質がに向上したという。
2. Manufacturing AIエージェント(図面・設計仕様の照合業務)
製造業において重要かつ負担が大きいのが、製品図面と部品図面、技術仕様書の照合業務だという。従来は人が目視で行っていたこの作業に、非構造化データを扱えるAIエージェントを導入した。
PDF形式の図面からテキストを抽出し、AIが自動で整合性をチェック。人間はAIが判定した「不一致の可能性がある箇所」を重点的に確認するだけで済む。これにより、技術仕様書の照合時間は340分から10分へと97%も削減された。この成果は、単なる効率化に留まらず、ヒューマンエラーによる製品回収などの経営リスク低減にも直結している。
渡邉氏は、これらの成功の裏にはIT部門の役割の変化があると話す。従来の「御用聞き」ではなく、ビジネス部門の「パートナー」として現場にどっぷりと入り込み、一緒にコードを書き、スキルトランスファーを行ったという。
「現場の方々に魚(結果)をあげるのではなく、魚の釣り方(データの扱い方)を教えることが重要。社内コミュニティの活性化や、外部のユーザー会への参加を通じて、自律的にデータ活用ができる人材を育成していく」(渡邉氏)
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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