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2030年「情報システム終焉」に備えよ──NTTデータの「AIショアリング×オントロジーAI」戦略

NTTデータ:「Foresight Day 2026」錦織真介氏講演レポート

 NTTデータが2026年1月に開催した「Foresight Day 2026」。基調講演に登壇したSI事業本部グローバルエンジニアリング&イノベーション室長の錦織真介氏は冒頭、参加者にこう問いかけた。「AIが企業の重要な意思決定をすべて担えると思いますか? AIの判断をすべて信じることができますか?」この問いに対する答えが、NTTデータの今後の戦略を貫く軸となる。「2030年までに情報システムは姿を消し、AIが企業の頭脳になる」という大胆な未来像を提示しつつ、「現在のLLMには全ての判断を任せることができない」という現実的な制約も同時に示す。AIと人間の役割をどう整理し、どのソリューションで対応するか──本稿では、同講演のエッセンスを紹介する。

株式会社NTTデータ システムインテグレーション事業本部グローバルエンジニアリング&イノベーション室長 錦織真介氏
 

 【この講演のポイント】

・AI活用を4つの領域に分類し、それぞれに最適なアプローチを選ぶ考え方

・設計書からコードとテストを自動生成する「AI-Shoring」の仕組みと実績

・20%のコスト削減を保証する「運用巻取り」モデルの全容

・LLMの限界を超える「GRAG AI(オントロジーAI)」が生み出す因果推論の力

・2030年に向けたシステム領域→事業領域への段階的ロードマップ

情報システムはなぜ「終焉」を迎えるのか

 錦織氏はまず、AI普及の速度感を数値で示す。NetflixがユーザーDB1億人に達するまでに10年かかったのに対し、TikTokは9ヵ月、ChatGPTに至ってはわずか2ヵ月でその水準に達した。「AIの進化速度は、過去のデジタル変革とは次元が違う」という認識が出発点だ。

 スタンフォード大学の予測やマッキンゼーのレポートを引きながら錦織氏が示したのは、2030年に向けた役割の逆転だ。AIが「業務遂行の実行主体」となり、人間は「価値基準・戦略設定者」へとシフトする。「正確性・説明責任・倫理が問われる領域は人間が担い続ける。しかしそれ以外の作業は、急速にAIに移行する」。この前提に立てば、今の「情報システム」という形態そのものが問い直されることになる。

AI活用を4象限で整理する——どの領域に何を使うか

 [画像クリックで拡大]

 では、どこから手をつければいいのか。錦織氏が提示したのは、「人的作業の必要性」と「情報システムの必要性」という2軸で整理した4象限フレームワークだ。象限ごとに取るべきアプローチが変わる、というのがその核心にある。

 領域1(システム必要×人必要)は、会計ERPや基幹系ビジネスシステムが該当する。正確性と説明責任が求められるため人間の判断は不可欠だが、システムとしての基盤も必要だ。ここへのアプローチは「AIでシステム開発方法を革新すること」であり、対応ソリューションが後述する「AI-Shoring」となる。

 領域2(システム必要×人不要)は、監査システムやセキュリティ監視、統合運用が中心だ。定型・反復業務が多く、AIによる効率化の余地が最も大きい領域でもある。NTTデータは「コスト削減コミット型の運用巻取り」でここに応える。

 領域3(システム不要×人必要)は、CRM/SFAやコンタクトセンター、経営ダッシュボードが典型例だ。人とAIが協働して新たな価値を生む領域であり、「Smart AI Agent」が主要ソリューションとなる。

 領域4(システム不要×人不要)は、需要予測、予防保全、個別最適化など、AIが単独で価値を生み出す領域だ。ここで登場するのが「GRAG AI(オントロジーAI)」である。

 「この4つの象限を混同すると、適切なアプローチが選べなくなる。どの領域に課題があるのかを最初に見極めることが、AI戦略の第一歩だ」と錦織氏は強調する。

AIショアリング──設計書を入力すれば日本品質のコードとテストが生成される

 [画像クリックで拡大]

 領域1への答えとなるAI-Shoring(AIショアリング)は、設計書を入力するだけで、コードと単体テストを自動生成するシステムだ。自社GPU環境とオンプレミスのLLM、RAG、そして24種類のAIエージェントを組み合わせた独自アーキテクチャを採用している。

 仕組みの核心は「リフレクションPGフレームワーク」にある。計画Agent・コードAgent・テストAgentの3エージェントが連携し、「設計 → コード → テスト → エラー分析 → 修正」のサイクルを繰り返す。反復回数はパラメータで設定でき、品質とコストをトレードオフとして調整できる。

 「欧米のツールが持っていない試験機能を実装したのが、日本市場での強みです」と錦織氏は言う。品質を重視する日本の開発文化に合わせた設計だ。UTカバレッジはC0/C1/C2の各指標で90%達成を目標とし、コスト制約からカットされがちなテスト工程もAIなら24時間対応できる。案件によっては20〜50%のコスト削減が可能なケースも出ているという。

次のページ
コスト削減コミット型の運用巻取り──20%削減をNTTデータ責任で保証する

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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

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