富士通は2026年2月24日、金融機関向けの事業モデル「Fujitsu Uvance for Finance」に関する記者会見を開催した。同社は、社会課題の解決と企業の成長を両立させる「Uvance」を軸に、金融業界のDXを推進する新たなロードマップと、複数のパートナーシップに基づく新オファリングを提示。八木勝氏と西田浩朗氏が、最新の進捗状況と将来展望を説明した。
(左から)富士通株式会社 執行役員常務 金融ビジネスグループ長 八木勝氏
同社 Financial Service & Insurance事業本部 本部長 西田浩朗氏
富士通は、金融サービスを「コアソリューション」「AI/データ利活用プラットフォーム」「CX(カスタマーエクスペリエンス)向上」という3層構造で捉えているという。この構造は、単なるシステム提供にとどまらず、クロスインダストリー(業種横断)でのデータ連携を可能にするマイクロサービスアーキテクチャに基づいている。さらに、これらの層を具現化すべく以下7つのカテゴリーでオファリングソリューションを整備するとのことだ。
- Personalized Experience:一人ひとりのエンゲージメント強化
- Finance Automation:バックオフィス業務の自動化
- Embedded Finance:シームレスな金融サービスの一体化
- Data Driven Finance:データ活用による経営・業務革新
- RegTech&Compliance:規制遵守とリスク管理の高度化
- Sustainable Finance:ESG経営と持続可能な成長支援
- Reliable Core System:基幹システムの俊敏化と効率化
西田氏は、具体的なオファリングのアップデートについて、特に保険とリースの分野での進捗を報告。同社は昨年、保険業界向けに「Fujitsu Cloud for Insurance Japan Edition」の提供を開始した。これは、グローバルで実績のあるSAPの保険業務ソリューションを日本市場向けにローカライズし、自動化されたワークフローで保険契約の管理や保険金支払業務の効率化を支援するものだ。まずは損害保険会社を対象に提供を開始しながら、一部のモジュールは生命保険会社でも利用できるようになっている。
リース業界向けには、30年以上の実績を持つ統合ソリューション「LEASING-1 Neo」をクラウド対応。すでに準大手を含む複数の企業で導入が決定しており、今後は新リース会計基準への対応やAIエージェントの組み込みなどを順次進めていきながら、大手企業も利用できるソリューションにしていく計画だという。
また、米FICO社とのパートナーシップ強化にも触れられた。富士通は、顧客とのコミュニケーションを最適化する「FICO Customer Communication Services」を2025年7月より、最適化分析プラットフォーム「FICO Xpress Optimization」を2026年2月より提供開始した。FICOのサービス群を統合的に提供する「FICO Platform」は、2026年度中に提供開始予定だという。
西田氏いわく、アメリカの金融機関ではFICO Platform内で20〜30ほどの「Decision AI」(従来のデータ分析にとどまらず、最適なアクションなどを導き出すAI)が動いているという。この機能を活用することで、複雑化する金融犯罪への対策や、個々の顧客に最適化されたコミュニケーションの自動化などが実現できる。また、三井住友銀行と進めているAI需要予測の取り組みでは、すでに複数の顧客から引き合いがあり、実用フェーズへの移行が加速しているとのことだ。
そのほか、CX向上に向けた施策に関しては、多様な金融サービスをシームレスに提供する「Fujitsu Embedded Finance Platform(仮称)」を構築し、金融とテクノロジーの力で法人企業の持続的な成長を支援するという。Embedded Financeに関して、昨今は需要がBtoB領域にまで広がっているため、そこを切り開くための施策だと西田氏は説明する。同社はすでに中小・中堅企業向けのEDIソリューションを提供しており、そのデータを分析し中小・中堅企業の顧客へ金融サービスを展開すべくPoC中だとした。最終的にはEDIにとどまらず、ERP、CRM、HRTechなど様々なデータを集約し、プラットフォーム上で分析・提案できるようにしていく方針だという。
八木氏は最後に、「2025年度のUvance売上目標である700億円に対し、着地は800億円を上回る見込みだ」と語り、金融機関のDXパートナーとして2030年度の売上2000億円という高みに向けた歩みを速める決意を述べた。
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