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手強い“2025年の崖”を乗り越える:モダナイゼーション最前線

SFA導入後も効果ナシ……IT部門が陥りがちな「3つの誤解」 コア業務のプロセス変革で注力すべきこと

データ入力定着のカギは「入力=自分へのメリット」の構造をどう作るか

 第1回では、AI時代に求められるモダナイゼーションの全体像について解説しました。続く本稿では、企業の収益エンジンである「営業(コア)業務」に焦点を当てます。多くの企業がDXの主要施策としてSFAを導入していますが、現場からは「入力作業が増えただけ」「欲しいデータがない」といった声が絶えません。なぜ高機能なツールを導入しても業務が軽くならないどころか、現場は疲弊するばかりなのでしょうか。その本質的な原因である「業務プロセスと会議の負債」にメスを入れ、営業組織が成果を生み出すための実践的なアプローチを紹介するとともに、人間とAIが真のチームメイトとなる未来について紐解いていきます。

SFA定着を阻害する、IT部門が陥りがちな「3つの誤解」

 「SFA(Sales Force Automation)さえ導入すれば、営業活動が見える化され、最終的に売上が上がる」。経営層やIT部門はこうした期待を抱きがちですが、現実は甘くありません。実は、日立ソリューションズ自身も、2005年のSFA導入から約10年間、なかなか定着しない時期がありました。その背景には、定着を阻害する「3つの誤解」があったのです。

誤解

誤解を招く背景

営業だけが使うツールである SFAが入力負担の大きいツールと捉えられ、組織全体でデータを利活用し、戦略立案に活かすという本来の視点が共有されない
導入さえすれば成果が出る SFAの導入自体が目的化し、業務プロセスや営業活動の型を定義しないまま、DXの効果を期待してしまう
現場の負荷が増えるだけ 中長期的なリターン(業務効率化や工数削減)が明確に示されず、現場から短期的な事務負荷の増加として受け止められてしまう

 これらの誤解が十分に解消されないままツール導入だけが先行すると、現場では深刻な二重管理が発生します。マネージャーが「SFAのデータは入力が遅く、正確性に欠ける」と思い込み、数値を把握するために使い慣れたExcelや口頭での報告を求め続けるからです。現場は「報告用のExcel」と「管理のためのSFA」の双方への対応を余儀なくされます。こうした状況が続くことで、SFAは意思決定に活用されないまま、誰も見ない、鮮度の低いデジタル日報として形骸化してしまいます。

 ツール自体は最新化されているにもかかわらず、業務プロセスや会議、マネジメントのあり方は変わらず、働き方や意思決定の構造が従来のまま残っている。この状況こそが「業務的負債」です。この負債を放置すると、やがて以下のような強力な「負のサイクル」が回り始めます。

営業領域における「業務的負債」の正体(クリックすると拡大します)
  1. 入力負荷とメリットの不均衡:現場はSFAの入力を自身の売上につながらない「コスト」と見なし、後回しや適当な入力になる
  2. データの鮮度・精度の低下:更新されないデータが増えることで、分析やAI予測への十分な活用が難しくなる
  3. Excel管理との二重運用:マネージャーは正確な数字把握のためにExcelでの報告を求めざるを得ず、データが個人のPCに分散し、属人化してしまう
  4. ツール投資対効果の低迷:SFAが単なる報告ツールに留まってしまい、コストに見合う成果を生み出せない状態となる

次のページ
SFA安定活用のためには“日常業務のプロセス強化”が肝、その具体策とは?

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手強い“2025年の崖”を乗り越える:モダナイゼーション最前線連載記事一覧
この記事の著者

上原 勝也(ウエハラ カツヤ)

株式会社日立ソリューションズ ビジネスイノベーション事業部 デジタルエクスペリエンス本部 新事業推進センタ センタ長(兼)チーフエバンジェリスト。Salesforce、ServiceNowを中核としたデジタルエクスペリエンスプラットフォーム事業における新事業推進に従事。特にAIエージェントに注目し、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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