孫正義の「AIぶっ込み」を見てどう思う? 最初はアルトマンも知らなかったのに……
西山氏:最後にちょっと攻めた質問をしたいのですが、孫正義さん(ソフトバンク創業者)のAIに対するぶっ込み方についてどう思いますか? つい先日、OpenAIに対する総投資額が10兆円になりました。川邊さんは孫さんと長いお付き合いもあると思いますが。
川邊氏:ソフトバンクはこれまで、「ビジョン・ファンド」というのをやってきていますよね。10兆円規模の巨大ファンドを2回やったかと思います。そのときも「AIファンドだ」なんてことは言っていたのですが、まさかのOpenAIをはじめプラットフォーム系のAI企業には一社も出資してなかったんです。
だから、ChatGPTが登場したときに「しまった!」となったわけです。特化型のAI企業には出資していたけど、こんな何でもできるAIが出てくるとは彼も予想していなかった。
西山氏:なるほど。
川邊氏:ただ、孫さんはそこからこの世界がどうなっていくかをもう一度考え直して、オセロの四隅を発見したんですよね。①アルゴリズム、それを動かす②データ、さらにそれを動かすための③GPU、最後に動力源である④電力です。そこから、「とにかくこの四隅を獲りに行くんだ」と動き出して、今ではあんなことになっていると。
すごいことだと思いますよ。その四隅をどこも押さえられていなかったところから今に至るわけです。しかも日本人のプレイヤーがほとんどいないGenAI競争の中で、抽象化された形での“資本力”ともいえる電力とGPUを押さえられているのは、元気が出る話ですよね。
西山氏:小澤さんはどう思いますか。
小澤氏:気持ちについては川邊さんと同じです。でも孫さん、元々はあまり詳しくなかったと思うんですよ。ある日、「サム・アルトマンを知っているか?」って(笑)。そのときは、もう誰もがアルトマンを知っているような世の中だったのにですよ。そんな地点から、今はあんなところまで行ってますからね。つまり、私たちよりもスタートラインは遅かったかもしれない。でも「AI時代、最後は『人』なんだな」って思わされました。
孫さんのすごいところは、AI時代が来ることを最初から見越していたわけではなかったけれど、「来る」と認識してからは人間力でサム・アルトマンに特攻して、親しくなってしまうというところだと思います。人間力の価値はどの時代でも変わらないんだという、非常にアナログな気持ちになりました。
川邊氏:だからやっぱり、何かに「恋する」力ですよ! 孫さんもアルトマンのことはものすごく買っていましたし、人に惚れこむ力みたいなものがすごいんだろうなと。恋する力はAI時代になってもなお有効だということです。
この記事は参考になりましたか?
- EnterpriseZine Press連載記事一覧
-
- 孫正義の「AIぶっ込み」どう思う? LINEヤフー川邊会長・元ヤフー社長 小澤氏が見るAI...
- Pure Storageが社名から「ストレージ」を消した日──Everpureへの改名が映...
- 2030年「情報システム終焉」に備えよ──NTTデータの「AIショアリング×オントロジーA...
- この記事の著者
-
名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
