川邊氏「爆速で進むからこそ、ブレーキとガードレールは間違いなく必要」
西山氏:巨大なAIサービスが次々と出てきておりますが、その中でもClaude(クロード)が大きなインパクトを呼んでいますね。Anthropicショックだとか、SaaS is Deadだとか言われていますが、もはやチャットではなくエージェントの時代になったと。今後はAIエージェントが世の中に無限に増殖していくわけですが、これにどう対応していくべきか、お話を伺ってもよろしいですか。
川邊氏:スマホが出てきたときも、「PCはもう使わなくなるから、あらゆるサービスをスマホに対応させよう」という論調がありました。実際、スマホ時代の到来でなくなってしまったサービスもありましたね。ただ、主要なサービスはスマホ時代でも沙汰されずに生き残りました。
AI時代も当時とほぼ同じノリになるでしょう。LINEヤフーとしても、プロダクトはAIを使って作る、そして機能やサービスもすべてにAIが対応するように掛け声をかけているところです。特にLINEとPayPayですね、この二つは(様々な消費者行動の)ハブになるサービスです。LINEやPayPayの上で様々なAIエージェントを動かすような世界が実現できればいいなと思っています。
西山氏:守りの観点ではどうでしょう。LINEは社会インフラ、PayPayは金融インフラともいえますから、やはり堅牢な守りが求められていると思いますが。
川邊氏:おっしゃるとおりです。このディスカッションのテーマは「爆速経営」と「堅牢な守り」の両立ですが、やはり良いブレーキとガードレールがあるからこそ爆速で進める、動けるというのは間違いないです。
AIを取り巻く様々な動向が予測不可能な状況でどんな経営をしていくかとなると、まずはある程度のAIガイドラインをはじめ、ガードレールを敷くことが必要だと思います。爆速で走っても、ぶつかりそうになっても、ガードレールがあるからなんとか大丈夫という環境を作ることです。そのガードレールは、人間がポリシーを考えて策定します。会社のポリシーをしっかり作って、それをどこまでAIに特化させるか。また、設計をどう人間がしっかり担保するか。これは人間の役割ですね。
一方でブレーキ、つまりセキュリティについてはAIを使わない手はないでしょう。AIを使って、AIをチェックするんです。これまでは人間の仕事でしたが、ブレーキ役はAIが担うようになっていくでしょう。
小澤氏「スタートアップが『昨日AIで書いた』ようなプロダクトを、VCに持ってくる」
西山氏:小澤さんは、Boost CapitalというVC(ベンチャーキャピタル)を運営してスタートアップ支援をされているわけですが、スタートアップにとってAIは当然かなりの武器になりますよね。何事もスピードはものすごく上がると思います。ただ、セキュリティ面はどうでしょうか。
小澤氏:それこそ、スタートアップが「昨日AIが書いただろう」みたいなプロダクトを持ってくるんですよ。同じようなものが米国で流行ってるからと。でもソースコードは読んでいないんですよね。というか読めないんです。速く何でも作れるというのは素晴らしい時代なのですが、一方でセキュリティをどうするかというのは非常に大きな課題ですね。
ですからVCとしても、バランスよく守りの人間、守りの会社に投資をしなければいけないし、技術を身につけてもらわなければいけないと考えています。AIでスタートアップはとても盛り上がっていますが、逆にいえば危うい状態にもあるというのが私の認識です。
川邊氏:まあでも、人間は進歩したと思います(笑)。昔だったら、こんなにすごい武器(AI)が出てきたら誰も守りの話なんてしなかったと思うんですよ。でも、今はちゃんと守りとセットでどう使いこなしていくかが議論されていて、多くの方がセキュリティに関心を寄せているわけですから。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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