民主主義世界のAI主権を勝ち取れ!元NATO事務総長/元デンマーク首相が新共同体「D7」創設を訴える
独裁と覇権主義にテクノロジーの主導権を握られてよいのか? 民主主義陣営は団結と信念を試されている
NATO事務総長やデンマーク首相を歴任したアナス・フォー・ラスムセン氏が、慶應義塾大学で講演を行った。そのテーマは、“Who owns the future?(未来は、誰のものか)”という民主主義陣営へのメッセージだ。ロシアや中国をはじめ、独裁と覇権主義を隠そうともしない勢力によって、世界の秩序が解体されつつある。今行われているのは、「誰が21世紀の新秩序を作り、主導するのか」という争いだ。そして、AIをはじめとするテクノロジー主権の確保が一つの戦場となっている。分断、そして敗北の瀬戸際に瀕する民主主義社会に対し、ラスムセン氏は新たな共同体の創設と、果たすべき3つの責務を提唱した。
民主主義は今、“手遅れ”の瀬戸際にある
「未来は、誰のものか」──ラスムセン氏は聴衆に向けて投げかける。同氏が問うのは、未来が「少数」に微笑むのか、あるいは「多数」に微笑むのかだ。すなわち、利益を搾取・乱用する一部の独裁者や覇権主義国家に未来を握られてしまうのか、それとも次世代のために繁栄を築こうとする「民主主義」が未来をつかめるのかという警鐘である。
なぜ今、この問いを投げかけるのか。それは、ここからの数年で民主主義の価値観をともにする陣営が何を行い、何を選択するかによって、未来がどちらの手に渡るのかが運命づけられるからだという。
「何十年もの間、私たちは歴史の弧が自由、平和、民主主義、開放、グローバルな統合、そして繁栄の共有という一つの方向に向かっていると信じてきました。しかし、“ストロングマン(独裁者)”の世界が到来してしまいました」(ラスムセン氏)
アナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)氏
同氏は、力こそが正義だと信じる者や、武力によって国境を変えようとする者、民主的な価値観を“脆弱性”として利用する者、さらには「テクノロジーは支配のための道具である」と考えるリーダーたちの台頭を嘆く。モスクワから北京まで、サイバー空間から宇宙空間まで、独裁的な権力は民主主義の決意に挑戦を突きつけ、我々の団結、レジリエンス、そして自由社会の基盤を守ろうという意志の強さを試している。
国際秩序は今、単に変化しているのではなく、現在進行形で解体されつつある──つまり、民主主義国家には「手遅れになる前に行動するかどうか」がすでに問われているのだとラスムセン氏は力強く訴える。
そして同氏は、AI(人工知能)の主導権がそのカギを握っていると述べ、デンマーク首相時代、NATO事務総長時代に、覇権主義の象徴的存在の一人ともいえるロシアのプーチン大統領と会話した際の出来事を回顧した。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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