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手強い“2025年の崖”を乗り越える:モダナイゼーション最前線

毎日来る社内依頼や問い合わせを一元化するには?M365/ServiceNowを用いた具体的手法を解説

いきなり全社規模で変革しても意味がない どこからスタートするべきか

Microsoft 365とServiceNowを用いた「業務の玄関口」再構築方法

 バラバラに散在するツールを統合し、情報を一元化する。これはモダナイゼーションの基本思想ですが、社内業務においても同じことが言えます。

 必要なのは、あらゆるツールから発生する依頼や通知をひとつに集約し、従業員が「ここさえ見れば、今、自分が何をすべきかが瞬時にわかる」場所を用意することです。それが、「業務の玄関口(ポータル)」です。

 この「業務の玄関口」を再構築するためのアプローチとして、現在多くの先進企業が注目しているのが、日本マイクロソフトの「Microsoft 365」とServiceNow Japanの「ServiceNow」という2つのプラットフォームです。本記事では、各プラットフォームを用いたアプローチについて解説します。

アプローチ①:Microsoft 365で実現する「自分専用コックピット」

 ひとつめのアプローチは、多くの企業ですでに導入されているMicrosoft 365を最大限に活用し、低コストかつスピーディに「業務の玄関口」を構築する方法です。日立ソリューションズでは、SharePoint Online上に散在する依頼や通知を集約し、従業員一人ひとりにパーソナライズされたダッシュボード、いわば「自分専用のコックピット」を提供する形で活用を支援しています。

(1)全社依頼を「自分事」化させる仕掛け

 本アプローチでは、依頼の性質ごとに整理していきます。まず対象となるのが、全社的なガバナンス維持に不可欠な「トップダウンの依頼」です。eラーニングの受講や安否確認、各種アンケートなど、全社員が期限内に対応すべき依頼の管理は数多く存在します。こうした依頼の管理には、専用の依頼管理ツールを活用することが一般的です。個々のメールやチャットに依存せず、依頼内容や対応状況を一元的に把握できる点が特徴です。

 その一例として、当社での社内実践から生まれた仕組みをご紹介します。かつて当社でも、全社通達の未対応者への督促や、それにともなう管理部門の負荷が課題となっていました。

 この課題を解決するため、社内ポータルのトップページに「To Doバー」を表示し、自分宛ての未完了依頼のみを一覧で確認できる仕組みを構築しました。依頼はそれぞれ「付箋(ふせん)」形式で表示され、期限までの残り日数に応じて色が「青→黄→赤」と変化します。信号機のようなデザイン(特許取得済み)が、「赤くなっているから対応しよう」という心理的な行動変容を促す設計です。

 このシステムを社内で活用して効果を実証したのち、「グループタスク リマインダーサービス」としてお客さまへ提供したところ、ある企業では期限内の平均回答率が67%から98.2%に向上しました。

日立ソリューションズの「グループタスク リマインダーサービス」の画面イメージ(クリックすると拡大します)

(2)個人のタスクを一画面に集約

 次に、個人の生産性に直結する「ボトムアップの作業」の管理です。ここでは、従業員一人ひとりが日々対応すべき作業を、いかに漏れなく、効率的に把握できるかが重要になります。当社自身も、日々の業務においてOutlookのメール、Teamsのメンション、ワークフローの承認依頼など、Microsoft 365内に情報が散在し、作業を探す時間や対応漏れが発生するという課題を抱えていました。

 そこで、これらの散らばりがちな情報を一画面に集約し、作業を探す手間を減らす仕組みを社内で構築しました。

 たとえば、「件名に『依頼』を含むメールのみを表示する」「未読のお知らせだけを抽出する」といった条件を設定することで、自分にとって今すぐ対応すべき作業を瞬時に把握できるようにしたのです。従業員は、朝一番にこの画面を見るだけで、その日に対応すべき作業の全体像を把握でき、優先順位づけが容易になりました。

 現在、当社ではこの自社実践で得たノウハウを体系化し、「個人向け作業項目集約テンプレート」としてお客さまの環境構築にも役立てています。

日立ソリューションズの「個人向け作業項目集約テンプレート」の画面イメージ(クリックすると拡大します)

アプローチ②:ServiceNowで実現する「統合サービスポータル」

 もうひとつのアプローチは、DXプラットフォームの領域で世界的に高いシェアを持つ ServiceNowを活用し、より高度で双方向的な「業務の玄関口」を構築する方法です。

 ServiceNowは、単なるタスク管理ツールではありません。組織横断の業務プロセスそのものをデジタル化し、会社と従業員のやり取りを可視化し、標準化するプラットフォームとして機能します。

(1)双方向コミュニケーションのハブ

 ServiceNowが提供するのは、従業員があらゆる社内サービスにアクセスするための統一されたサービスポータルです。ここには、「会社からの依頼」と「従業員からの申請・問い合わせ」の両方が集約されます。従業員は、自分宛てのタスクを確認して消化するだけでなく、PCトラブルの相談や住所変更といったIT関連・人事の各種手続きも、このポータルから解決できます。

 検索バーやチャットボット(仮想エージェント)に質問すれば、AIが適切なナレッジや申請フォームを提示してくれるため、どの部署に聞けばよいかを迷う必要がありません。

(2)業務プロセスの可視化と自動化

 ServiceNowの真価は、ポータルの裏側にある強力なワークフローエンジンにあります。たとえば「入社手続き」のように、人事・総務・ITなど複数部門にまたがる複雑なプロセスも、ひとつのワークフローとして統合管理できます。

 業務に適合したワークフローを活用すれば、各部門の担当者へのタスク割り当てや期限管理が自動化されます。従業員は自分の申請が「今どこまで進んでいるのか」を把握でき、バックオフィス側は定型的な問い合わせ対応から解放されます。その結果、双方のEXが向上します。

日立ソリューションズの「業務プロセス可視化ソリューション for ServiceNow」のイメージ(クリックすると拡大します)

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Microsoft 365とServiceNow、どちらを選ぶべきか?

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この記事の著者

大平 剛士(オオヒラ ツヨシ)

 株式会社日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 AIワークオートメーション本部 アプリケーションDX部 部長。 Microsoft 365やPower Platform、Copilotといった最新テクノロジーを活用したアプリケーションDX事業を推進。SharePoint...

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