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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

ガートナー 一志氏に聞く、日本企業のデータ基盤整備の落とし穴 「データ活用」から「AI活用」へ進めない制約の存在とは?

ガートナージャパン 一志達也氏インタビュー

2025年に起きた地殻変動、その後の動向が注目されるデータマネジメント市場

 「2025年にはデータマネジメントの世界で大きな業界再編が起きた」と一志氏は指摘する。最も大きなものが11月のSalesforceのInformatica統合である。そして10月には「Modern Data Stack(MDS)」を標榜してきたFivetranによるdbt Labs買収発表が報じられた。ETLのE(抽出)とL(ロード)の機能を提供してきたFivetranとT(変換)機能を提供してきたdbt Labsが、相互補完を目的とする統合に合意したことになる。両社は、Informaticaに代表されるGUIベースのETLとは異なる、データエンジニアとの親和性の高いコードベースのツールを提供してきた。統合後は、ガバナンスを含めたプラットフォーム構築を進めることになりそうだ。2023年のQlikのTalend買収も同じ文脈で、統合後は「Qlik Talend Platform」を中核にプラットフォーム戦略を進めている。オンプレミスからのクラウドシフトで、データマネジメント市場は大きく変化した。最終的にどう落ち着くかはまだわからない。「これからの企業のAI活用の進展を考えると、市場競争の激化が考えられる」と一志氏は解説した。

 もう一つ、一志氏がデータマネジメント市場で注目と考えるものに、「セマンティック」がある。セマンティックとは、人間が発する言葉の意味や解釈をデータと結びつける情報のことで、最上位レイヤーが自然言語だとすると、セマンティックはその下、さらに下にメタデータがある構図だという。このセマンティックをどう管理するか。今は標準規格がないため、各ベンダーが独自に進めることが可能だが、ユーザーにとってはセマンティックポータビリティが失われるリスクがある。さすがにこれではまずいと、標準化に向けてベンダーも動き出した。「セマンティックレイヤーが整うと、『データのコピペ』は必要なくなる。データのビジネス的な意味をデータの所在と合わせて整備することは、非常に手間がかかるが、実現すればAIが動きやすくなる」と一志氏はみている。

 そして、2026年で一番重要なキーワードは「AIによる仕事の変化対応」と、一志氏は訴えた。ガートナーは、「AIを使いこなせる拡張された人材になれ」と提言している。プログラマーはコードを書くことが仕事だったが、生成AIの登場でゼロからコードを書く必要はなくなった。プログラミングに限らず、同じことがあらゆる業務で起きる。AI-Readyが注目を集めたのは良いことだが、「AI活用」を奨励する前に、日本企業の経営者には、社員に正しく伝える力、そして社員には変化対応力を身につけることが問われている。

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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