AGCは、全社での安全なAI活用と開発効率化を支える取り組みの一環として、Kongが提供するAPIマネジメントおよびAI Gateway関連サービスを採用した。
今回の採用は、部署単位でのAI活用だけでなく、将来的な海外拠点への展開も視野に入れた全社共通のAI開発基盤整備に向けた取り組みの一環として位置づけられているという。同プロジェクトにおいてKongは、対話型AIサービスを含む複数のLLM(大規模言語モデル)アプリケーションを安全かつ効率的に活用するための共通プラットフォームとして期待されているとのことだ。
AGCの社内におけるAI活用への関心が高まる中で、より高度で安全な利用環境を実現するうえで、以下のような課題が認識されていたとしている。
- マルチLLM活用への現場ニーズの高まり:対話型AIサービスにおいてAzure OpenAIを中心とした活用が進む一方、用途や業務特性に応じて、GeminiやAnthropicなど他のLLMも柔軟に使い分けたいという開発現場からの要望が高まっていた
- 契約・IT調達プロセスの効率化:事業部やプロジェクトごとの個別契約では、契約・請求処理が煩雑化するだけでなく、導入のたびにセキュリティチェックや申請が必要となるため、スピード感を持った全社的なAI活用推進の足かせとなる懸念があった
- 利用状況・コストの可視化と最適化:各部門が個別にAPIを利用する環境では、「誰が・何に・どれだけ使ったか」を正確に把握することが難しく、組織全体でのコスト管理やガバナンス統制が困難な状況があった
- 従量課金に対する心理的ハードルの解消:「使いすぎによる高額請求」への不安が、現場ユーザーにとって心理的なブレーキとなり、積極的なAI活用や試行錯誤を躊躇させる要因になっていた
これらの課題に対応し、安心してAI活用を拡大していくためには、利用状況とコストを可視化し、適切なガードレール(上限設定など)を備えた共通のAI開発基盤の整備が重要視されたと述べている。
Kong選定のポイント:AIガバナンスとスピード感の両立
安全かつ迅速なAI開発環境を実現するためのソリューションとして、主に以下の点が挙げられているという。
- マルチLLMの一元管理(AI Gateway):Azure OpenAI、Gemini、Anthropicなど、API仕様の異なるLLMをKongが仲介・標準化することで、開発者は単一の窓口を通じて、最小限の変更コストで最適なAIモデルを柔軟に選択・切り替えできる環境が整う点
- 契約・申請プロセスの集約(共通プラットフォーム化):セキュリティ審査済みの共通基盤としてKongを活用することで、契約やガバナンス管理を集約。事業部ごとの個別契約や都度の申請手続きを効率化し、開発者がすぐに着手できる標準的なAI開発環境を提供できる点
- 利用状況・コストの精緻な可視化(利用者:Consumer管理):API利用者(Consumer)単位での管理機能を活用し、部署・プロジェクト、社員個人単位での利用状況を可視化。運用負荷を抑えつつ「誰が・どのモデルを・どれだけ使ったか」を正確に把握できる環境を整備し、将来的な社内チャージバック(費用配賦)の自動化にも対応できる点
- 予算超過を防ぐガードレール(AI Rate Limiting Advanced):利用者ごとに期間ごとの利用枠(Quota)やレートリミットを設定可能にすることで、予算を超過した場合は自動的に制御がかかる仕組みを実現。「想定外の高額請求」に対する現場ユーザーの心理的な不安を解消できる点
- エージェント/MCPへの先進的な対応:単なるチャットボットにとどまらず、MCP(Model Context Protocol)Gatewayとしての活用も視野に入れ、社内データや研究論文にアクセスするAIエージェントの開発構想に対応できる拡張性の高さ
なお、導入にあたっては、調達および契約手続きの柔軟性の面から、AWS Marketplace1を通じてKongのソリューションが採用されたとのこと。既存のクラウド調達プロセスと整合性を保ちながら、スムーズな導入が実現したという。
今後の展望
同プロジェクトでは、まず開発者層から利用を開始し段階的に展開するとともに、将来的にはバックオフィスを含む幅広い社員によるAIアプリ/AIエージェント活用も視野に入れているとのことだ。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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