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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

NTT西日本の変革を支えたトップガンITアーキテクトの挑戦──専門性の深化から組織変革、そして次世代技術戦略へ

NTT西日本のデータ基盤刷新、数十億円のコスト削減と東西共同利用化 3大クラウド資格全冠どう生かした

専門性を武器に数十億円規模のコスト削減を実現、構築の苦闘と効果創出

東西共同利用化への道のり 巨大組織特有の壁をいかに突破したか

 データ活用基盤の構築において、もう一つの大きなチャレンジが「東西共同利用化」でした。NTTグループは、NTT東日本とNTT西日本でそれぞれ独立した会社として運営されています。そして、データ活用基盤もNTT東西で個別に構築・運用されていました。

 そこで、私たちは次期データ活用基盤をNTT東西共同で利用する提案を行いました。まず、NTT西日本で設計した次期データ活用基盤のアーキテクチャを東日本に提案しましたが、これは単なる技術提案では済まない挑戦となりました。NTT東西で独立した会社として運営されてきた歴史、それぞれの組織文化、異なる意思決定プロセス……技術的な正しさだけでは、この壁を越えることはできません。

 そこで私は、東西共同化検討チームのリーダーとして、以下の活動を行いました。

  1. 技術の共通化:NTT東西で異なっていたデータ活用基盤で利用するサービス群、つまり、アーキテクチャを統一しました。3大クラウド資格全冠の知見を活かし、双方の要件を満たす最適なアーキテクチャを設計しました
  2. 運用プロセスの共通化:障害対応、変更管理、コスト管理などの運用プロセスを標準化しました
  3. ガバナンスの明確化:共同利用する場合の意思決定プロセス、コスト分担、責任分界を明確にしました

 また、技術力だけでなく、会社を超えた関係者との粘り強い調整力が求められました。これらの調整には1年以上の時間がかかりましたが、最終的に東西共同利用化が決定されました。NTT西日本は2026年6月、NTT東日本は2027年6月に次期基盤への移行を完了する予定です。

 この東西共同利用化の実現は、専門性を深く磨いたからこその成果です。技術への深い理解があってこそ、NTT東日本に対して説得力のある提案ができ、技術的な懸念に対しても的確に回答できました。同時に、大企業の中で組織を超えた合意形成を実現するための調整力も不可欠でした。

データ活用推進の現在地

 現行基盤と次期基盤の取り組みに加えて、2025年度はさらなるデータ活用推進を進めています。2024年度に育成した牽引者候補が、それぞれ独立してデータ活用案件をリードし、複数の案件で追加のコスト削減効果を生み出しました。

 これは単に私一人が成果を出すのではなく、人数をスケールすることで会社をより成長させるという戦略が機能しはじめた証しです。2026年度はさらに多くの案件を推進し、より大きな効果創出を見込んでいます。しかし、ここで新たな問いが生まれます。「トップガン人材による個人の成功をどうすれば組織全体の力に変えられるのか」──次回は、この問いに正面から向き合います。

次回予告

第3回では、トップガン人材による“個人の成功”をいかにして、組織全体の力に変えていったのかに焦点を当てます。データ活用を推進する上で最も重要な要素である「人材育成」を軸に、500名規模の社内コミュニティの形成、一人称でクラウド構築可能な「牽引者候補」の育成、そして4,000名規模の社外コミュニティ運営まで、変革をスケールさせるための多層的なアプローチを、具体的な研修カリキュラムや育成事例とともに紹介します。

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NTT西日本の変革を支えたトップガンITアーキテクトの挑戦──専門性の深化から組織変革、そして次世代技術戦略へ連載記事一覧
この記事の著者

高須賀 将秀(タカスカ マサヒデ)

博士(情報学)。2012年に修士号を取得した後、NTT西日本株式会社に就職。プライベートクラウド基盤やアプリケーション開発を経験した後、様々な技術(NW、サーバ、クラウド、プログラミング)を組合せることで、データ活用を推進するためのプラットフォームを運営。2019年から社会人ドクターとして研究活動を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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