DatabricksがHTAPを「LTAP」で再定義、イベントで示した「Agentic SoR」戦略
「Data + AI Summit 2026」現地レポート
Databricksは、フラグシップイベント「Data + AI Summit 2026」を開催。そこで掲げられたのは、「Agentic System of Record(Agentic SoR)」への転換だ。今年も「LTAP(Lake Transactional/Analytical Processing)」をはじめ、新機能などが続々発表されたイベントとなった。本稿では、初日に行われた基調講演を通してレポートする。
3万人超の参加者が押し寄せた「Data + AI Summit 2026」
2026年6月15日から4日間にわたり、Databricksはフラグシップイベント「Data + AI Summit 2026」を米国・サンフランシスコで開催している。事前登録者数は100,000名以上、現地参加者は31,000名超と昨年を大きく上回る規模となった。メインステージが置かれているモスコーニ・センター周辺には、イベントの広告があらゆるところに打ち出され、参加証を首から下げている参加者も目立ち、日本からも500名超のユーザーやパートナーが駆けつけている。
イベント初日に行われた基調講演では、多くの新機能などが発表された。Databricksが示したのは、企業システムにおけるAIの位置づけが単なる対話型のツールから、自律的に判断し実行するエージェントへと完全に移行しつつあるという現状、そして浮き彫りとなってきた課題が山積している現況だ。
基調講演において、Databricksの共同創業者 兼 CEOを務めるアリ・ゴドシ(Ali Ghodsi)氏は、現在のAIモデルが数学の難問すらも解けてしまう事実を挙げ、「AGI(汎用人工知能)には、既に到達している」と言及。その上で、企業内でAIが十分に機能していない現状について、「AIの知能に問題はない。問題は、企業の『不完全なコンテクスト』から推論していることにある」と指摘した。
生成AI、そしてAIエージェントが普及してきた日本においても、十分にAIを業務利用できないという壁に直面していることから「コンテクストの不足」という課題が顕在化している。この一要因として、データ活用が声高に叫ばれていたときから解消できていない、「企業データのサイロ化」が尾を引いているといっても過言ではないだろう。部門やシステムごとに個別最適化されたデータベースやデータウェアハウスなどが使われ、SaaSの台頭によって“データの分断”は加速した。2000年代からデータカタログなどの整備に挑戦してきた企業は数多くとも、AIの台頭により役割そのものが変化していく中で、うまく運用できている企業は少ない。
メタデータやビジネスロジックが一元管理されていない状態では、AIは正確に推論できず、ハルシネーションを出力してしまう。ゴドシ氏は、これらの課題を解決するためには、AIに「適切なコンテクスト」を与えるだけでなく、「Choice(選択肢)」「Control(制御)」「Cost(コスト)」を含めた課題を包括的に解決する、新たなシステムパラダイムとして「Agentic System of Record(Agentic SoR)」が必要だと主張した。
AIエージェントの普及により、再びSoRへとフォーカスされる中、DatabricksはどのようにAgentic SoRに資する製品群へと機能拡充するのか。講演では、多数の新機能が発表されており、その中核を成すのがOLTPとOLAPを統合する新アーキテクチャ「LTAP(Lake Transactional/Analytical Processing)」だ。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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