影響範囲を正しく理解し、専門家に頼る 新リース会計を成功させるために
2社のバックアップを得て、新リース会計の適用準備をスタートさせたナックだが、林氏は気を緩めてはいない。林氏は、「新リース会計基準の適用に向けて、これからが本番です。対象となる資産をどこまでリースとして認識するのか、リース期間をどの程度と見積もるのかといった判断は、われわれだけでは決めきれません。監査法人との協議も含めて、ここが一番大変になるだろうと想像しています。ただ、そこさえ乗り越えれば、あとはシステムが自動で処理してくれるイメージをもっています」と述べる。
新リース会計基準への対応は、単に仕訳ルールが変わるだけではない。貸借対照表の総資産や負債が膨らみ、自己資本比率やROA(総資産利益率)といった重要な経営指標に直接的なインパクトを与える。そのため、経理部だけでなく、経営層を巻き込んだ全社的な影響度分析と、監査法人との緻密なすり合わせが不可欠だ。
土間氏は、「(ナックにおいて)まずは対象資産の識別やリース期間の考え方を整理し、会計方針を策定しながら監査法人と協議を進めていきます。その後、システムの投入から開示体制の構築までを支援していく予定です」とロードマップを示す。さらに、「20〜30件の契約であってもExcelでの管理は手間がかかり、更新時にはリスクがともないます。システムを活用し、早めに着手することが成功の鍵です」と、早期対応の重要性も呼びかけた。
また、林氏は自らの経験を踏まえ、次のようにアドバイスする。
「まずは、新リース会計基準が自社に与える影響の大きさと、対応に多くの工数が必要という事実を正しく理解するところがスタートラインでしょう。これは、一人の担当者で完遂できるものではありません。網羅的に拾い上げる難しさ、監査法人からの助言や指摘に対して適切な対応ができるよう、自分たちの専門的な知見が足りないことを自覚し、専門家に頼ることも重要です」(林氏)
新リース会計基準への対応は、企業にとって重い負担であることは間違いない。しかし、システムを活用し、専門家の知見を借り、BPOによってリソース不足を補うことも可能だ。林氏は、「この対応をきっかけに、他のバックオフィス業務のDXも推進していきたい」と意欲を見せている。新基準の適用を乗り越えた先には、手作業から解放され、より高度な経営分析と価値創造に貢献する、新しい経理部の姿が待っているはずだ。

この記事は参考になりましたか?
- 待ったなし!「新リース会計基準」対応への一手連載記事一覧
-
- 全国186拠点・グループ13社のナックが「新リース会計基準」適用を進行中、その課題とアプロ...
- 2027年「新リース会計基準」強制適用へカウントダウン マネーフォワード経理部から学ぶ「4...
- 新リース会計「アナログ対応」の地獄 TOKIUM経理部があえて早期適用に挑戦してわかった“...
- この記事の著者
-
岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
