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クラウド時代の運用管理~社内での実践を活かした先進機能の提供~

富士通株式会社/ Systemwalker


コスト削減とビジネスのスピードアップの観点から、クラウドへの期待が高まっている。クラウドを活用したICTシステムの全体最適化は、仮想化、標準化、自動化の3ステップで段階的に進めることを提案している。富士通では、2008年度から国内外のソフトウェア開発拠点のインフラをクラウド化し、「沼津ソフトウェア開発センター」に集約した。その経緯と、実践から強化された運用管理ソフトウェアを中心にご紹介する。

クラウドへの期待と段階的導入ステップ

 現在の企業におけるICT利活用は、大きく以下の観点で展開していると考えている。

  • 現システムの最適化によるコストダウン
  • SaaSや高生産の開発などへの取り組みによるフロント業務のスピード化
  • ネットワーク社会インフラの進展による新しいサービスの活用
     

 この展開で、重要なキーワードとなるのがクラウドである。実際、企業のクラウドへの関心の高まりは、富士通に寄せられる商談にも現れている。クラウド商談の件数は2009年度上期に比べて下期は約3倍になった。要望別に商談の内容を分類してみると年間を通じて「サーバー統合によるコスト削減」がおよそ半数を占めている。また、下期には「会社・グループ会社への共通サービス化による全社的な効率化」、「スピード向上やガバナンスの強化」といった商談が増えた。

 つまり、仮想化によるサーバー統合からシステムの全体最適化へと移ってきている。クラウドへの関心は、方向性の検討から具体的な企画のフェーズに移りつつある。そして、それは単なる要素技術への注目というよりも、システム戦略全体の視点に基づいていると見ることができる。

 現在、多くの企業では、業務システムごとにサーバー、OS、ミドルウェアなどシステム環境が構築されている。そして、それらのほとんどは、運用が業務システムごとに行われている、いわば「サイロ型のシステム」となっているのが実情だ。そこで企業が所有するサーバーを一カ所に集約して仮想化し、運用とICTリソース利用を効率化することが求められているわけだが、そこでは新たな問題も発生する。

 サーバーが各部門に分散している時には、その運用管理は現場の開発担当者などが本来の業務のかたわら、ボランティア的に行っていた。ところがセンターに集約されると、その運用管理作業も「業務」として集まってしまう。その結果、せっかく物理サーバーの台数を減らしてコストを下げたのに、運用管理のための人件費が上がることになりかねない。そこで仮想化に加え、標準化と自動化というステップが必須となる。

 この3 つのステップは、以下のように、企業のクラウド、中でも自社で運用するプライベート・クラウドへの期待、コスト削減とビジネスのスピードアップを実現するキーとなっている。

コスト削減

  • マルチベンダーのプラットフォームを集約、仮想化して稼働率を上げたい
  • システムの運用を自動化し運用管理の負荷を軽減したい
  • 開発・実行環境を型決め(標準化)して開発・メンテナンス負荷を軽減したい

ビジネスのスピードアップ

  • 本社標準の業務サービスの利用を子会社にも展開し、グループ全体でのビジネスのスピードアップを図りたい
  • 自動化によりアプリケーション開発環境やテスト環境を必要なときにすぐに利用したい
  • 連携先ごとにプログラム開発を行うことなく、決められた方法で簡単にパブリック・クラウドと連携し業務開発を早めたい

 企業が所有するサーバーを一カ所に集約して仮想化し、その上で業務の標準化を行い、さらに業務の構築作業や運用作業を自動化していく。また、運用をスムーズに行うために業務サービスの見える化を進め、必要に応じてパブリック・クラウドのスケールメリットや拡張性も利用する。富士通の考えている段階的な最適化であり、目指すハイブリッド・クラウドの姿になる。(次ページへ続く

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ITIL/SOAを軸としたソフトウェア体系を強化

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この記事の著者

新田 将人(にった まさと)

富士通株式会社
ミドルウェア事業本部
本部長
 

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https://enterprisezine.jp/article/detail/2499 2010/10/08 11:59

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