ZOZOの情シスはCTO下で“開発を速める存在”へ──Claude利用を止めないガードレールの育て方
開発と情シスの指揮を執る瀬尾直利氏が実例で示す、「通した/止めた」の判断軸
情シスは「止める存在」から「整える」存在へ
このように一貫した判断基準を公開して明示することで、社内におけるIT統括本部への相談プロセスに大きな変化が生じたと瀬尾氏は語る。現場側があらかじめ結果を予測できるようになり、無許可で使うのではなく「どうすれば基準をクリアして導入できるか」を事前に相談する文化が生まれたのだ。試験導入や効果検証のレポート作成を開発現場と共同で行うことで、情シスは「止める存在」から「一緒に安全な利用環境を整える存在」へと変化を遂げた。
社員向けの利用ルールとしても、入力データの学習拒否設定(オプトアウト)の義務化や、AIの生成物に対する人間の点検の徹底、社内認証基盤と連携したアカウント一括管理などを定めている。ルールと審査基準を明確に示すことで、現場の自立的なガバナンス意識を高め、シャドーITを自然発生的に抑止する仕組みを構築しているのだ。
講演の最後、瀬尾氏はセキュリティと生産性のバランスについて、「この2つは天秤にかけるものではない。両立を前提に環境を整えることが解である」と強調した。全面的な禁止や無秩序な許可ではなく、小さく始めて安全性を確認しながら段階的に“許可の範囲”を開放していく運用こそが、現代のIT統括部門に求められる姿勢だろう。

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