ロッテ/マクロミルに見るAI-ReadyなITインフラの姿 AIエージェントが変革する基盤移行と運用
Google Cloud「AI-Ready Infra & DB Summit」基調講演レポート
ゼロから新システムを構築したマクロミル、内製化にAIエージェントを活用
2人目のゲストとして登壇したマクロミルの宮坂雅輝氏は、CTOとしてコーポレートITとプロダクト開発の両方を見ている。オンラインリサーチの会社として知られる同社は2000年の創立から20年以上が経過し、基幹システムの運用に関わる問題が無視できないレベルになってきた。そのうち、インフラとデータベースに関するものとして宮坂氏が挙げたのが、「弱いデータ分析基盤」「低いスケーラビリティ」「非常に多い手動作業」「コスト」「高い外注依存度」の5つ。予算計画を年度の初めに作り、それを粛々と執行する開発スタイルをとると、ウォーターフォール型に近くなる。この進め方はリリースサイクルの長期化、運用コストの増大を招き、ビジネス価値創出のスピードを妨げる。
このことを問題視したマクロミルは基幹システムを全面刷新することに。しかし、稼働しているシステムのモダナイズは非常に難しい。そこで考えたのが、ゼロから新しいシステムを構築し、切り替えるアプローチだ。
何をどの順番で構築したのか。その指針になったのが、「私たちは何の会社か?」だったという。マクロミルでは、オンラインリサーチの事業展開を通して非常に多くのデータ資産を蓄積してきた。そのため、AIを使う場所はデータの近くが望ましい。データ基盤を整備するにあたり、当時はまだエンジニアリングチームがなかったため、システム構築に手がかからないマネージド環境を選択した。
そして内製化に方針を切り替え、エンジニアリングチームを立ち上げる。採用に力を入れ、2026年現在で60人超の体制に成長した。外注を完全に止めたわけではない。ただ「開発基盤とコア技術は外部に出さない。それ以外は出しても良い」と内製化する部分を区別することにした。
インフラとSREの部隊は内部に残すことにした。宮坂氏が取り組み事例として挙げた1つが、商用データベースをAlloyDBへ移行するプロジェクトだ。Gemini Code Assistでコード解析を実施し、AIRs(マクロミル運営のオンライン調査システム)のような主要基盤のデータベースも移行できるという判断に至った。もう1つの事例は、レガシーコードをコンテナで動かすアプリケーションモダナイゼーションの実証プロジェクトで、ここでもGemini Code Assist が活躍した。
AIによるコード解析の結果、当初は「全てを作り直す」としていた方針を「一部はモダナイズ、一部は作り直す」方向に変更できた。2025年から始まったプロジェクトは、当初の計画では2028年の完了を目指していたが、これを前倒しにできる可能性も出てきている。今後は、開発でも運用でもAIを軸に考え、本業のサービス運営でもAIを軸にすることを目指す。宮坂氏は「“AI-Ready”を実現し、その先の“AI-Nativeに向かいたい”」と語った。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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