SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

IT産業を革新するサービスサイエンス入門

サービスを構成する4大特徴を理解する

第6回

 今回はサービスの特徴に照準を当て、サービスの理解を深めていきたい。

サービスの4大特徴

 サービスはハードウェア製品と違った多くの特徴がある。その中でも図1にある4つの特徴が重要である。これらの特徴はサービスマネジメントの難しさの原因となっている。オムロンフィールドエンジニアリング(OFE)では、この難しさをいかにして克服するかを考え、対策を実践してきた。これを逆からみると、この特徴を競争の差別化要素として活用することがいかに大切かを意味している。

図1 サービスの4大特徴
図1 サービスの4大特徴

 サービスには形がないため、顧客にサービス商品のよさを分かってもらうのが難しいという特徴がある。目に見える素晴らしい商品を持っていても営業は難しい。ましてや、目に見えないサービス商品を売り込むのは、それ以上に難しい。

 これを解決するために、サービス先進企業ではサービスのよさを顧客に推測してもらう目的でビジュアルな情報システムを構築するなどが工夫されている。多くのサービス会社がコールセンターに投資して、素晴らしい環境を整えているのは、この事例の一つである。

 また、サービスは生産と消費が同時であるため、サービスを工場で量産することはできない。顧客も将来のためにサービスを買い置くことができない。また、このサービスのリアルタイム性がサービスは、やり直しがきかないという傾向にもつながっている。

 また、サービスは顧客毎に個別の要求に応えなければならない。誰一人同じ髪型をしている人はいないことがこれを表しており、ヘルプデスクサービスは顧客の質問に沿って答えなければ価値はない。

 さらに、サービスは顧客と共同生産することが多いことが、ハードウェア製品との大きな違いである。例えば、保守サービスでは顧客が機器に表示されているエラーコードや故障前の機器の兆候などを連絡すると、1回の訪問修理で修理が完了する確率が大幅にあがる。

 では、これらのサービスの特徴をもっと詳細に検討してみたい。

形がないサービスを見せる

 サービスそのものは目に見えないため、サービスの提供過程を見えるように工夫することが大切である。オープンキッチンのレストランはコックの手際よさや調理のテクニックを披露するなど、サービスの提供過程を見えるようにしている。

 OFEが始めたオンサイト保守サービスの進捗状況をWebでリアルタイムに顧客に見てもらうサービスも、保守サービスの提供過程を見えるようにする工夫の一つである。進捗状況をリアルタイムに見てもらうことで、顧客のイライラをなくし、安心してもらうことが少しでも早く直してほしいという顧客の事前期待を効果的にマネジメントしている。

 この保守サービスの進捗状況の公開は情報技術としては難しくはないが、保守サービス会社が進捗状況をリアルタイムに公開するのは難しい決断である。サービスレベルアグリメント(SLA)が主張されつつあるサービスマーケットで、マネジメントレベルの低い保守サービス会社はサービスレベルを守れてない証拠データをリアルタイムに顧客に提供することになりかねないからである。しかし、OFEでは「サービスの見える化」の経営方針に沿って、あえて進捗状況の公開に踏み切った。結果的には、顧客に大変な好評を博している。

図2 形がないサービスを見せる
図2 形がないサービスを見せる

次のページ
保守サービス会社のサービスの見える化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
IT産業を革新するサービスサイエンス入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

諏訪 良武(スワ ヨシタケ)

1971年 オムロン入社。85年通産省の∑プロジェクトに参加。 95年情報化推進センター長。97年オムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として、企業変革を実践。 04年OA協会か...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/275 2008/01/16 12:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング