SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

IT産業を革新するサービスサイエンス入門

サービスの本質とは?~サービスのモデル化

第4回

 「サービスサイエンス」はスタートを切ったばかりの学問だ。したがって、まだ定説があるわけではない。そこで筆者は自然科学にならってサービスを分類し、分解し、モデル化して、サービスの特徴を理解することから始めている。今号ではサービスをモデル化し、サービスの本質に迫ってみたい。

モデル化とシミュレーションの成果

 天文学ではモデル化とシミュレーションにより、天体の軌道を正確に解明することができる。また、物理学ではニュートン万有引力の法則など多くの法則が発見され、自然現象が解明されている。この法則は自然現象を忠実に表現したモデルの一つと解釈することができる。

 また、自動車の開発では3次元CADを用いてデジタルプロトタイピングが実用化されており、大半の設計がコンピュータ上のモデルで進められている。自動車の衝突実験までがデジタルプロトタイピングの世界でおこなわれているのは驚きである。これにより何億円もする試作車を作らずに実験ができるため、大幅なコストの削減と開発期間の短縮が実現されている。このように科学技術の世界や製造業ではモデル化が大きな成果を生んでいる。

ソフトウェアのモデル化

 筆者が若い頃に勉強したソフトウェア構造化技法やデータ指向技法は、実際の業務をシステム化する際のモデル化技法である。現在もっとも期待されているソフトウェア開発方法論はオブジェクト指向方法論であろう。この方法は対象システムに存在する「もの」を「オブジェクト」として抽象化し、現実世界の構造に近い形でソフトウェア自身をモデル化する。

 つまり、ソフトウェアの本質的な複雑さを少しでも軽減してやるためには、前回で取上げたソフトウェアの「分解」も大切だが、ソフトウェアの「モデル化」はさらに重要である。

フルフィルメント・ビジネスモデル

 では、サービスのモデル化を考えてみよう。図1はコールセンターの代表的なビジネスモデルの一つである「フルフィルメント・ビジネスモデル」である。このビジネスモデルでは、コールセンターはトラブルの受付けだけでなく、顧客の技術相談に乗り、故障を診断し、適切なスキルのカスタマエンジニア(CE)をアサインし、現地で修理しているCEのヘルプデスクを担当し、さらに故障修理全体の進捗管理までを担当する。

図1 フルフィルメント・ビジネスモデル
図1 フルフィルメント・ビジネスモデル

 このビジネスモデルを吟味すると、コールセンターが生み出す価値は受付けにあるのではなく、しっかりした技術相談によりCEの出動件数を軽減し、現場のCEの修理作業を効率化するところにあることが分る。オムロンフィールドエンジニアリングの事例では、このビジネスモデルを採用したことにより、年間7万件近くの出動軽減が実現されており、顧客満足を高めると共に10億円以上のコスト削減につながっている。

次のページ
産業の情報転写モデル

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
IT産業を革新するサービスサイエンス入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

諏訪 良武(スワ ヨシタケ)

1971年 オムロン入社。85年通産省の∑プロジェクトに参加。 95年情報化推進センター長。97年オムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として、企業変革を実践。 04年OA協会か...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/169 2007/10/12 12:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング