企業が管理すべきデータのなかでも、メールや文書、音声や画像、社内外サイト上にある情報などDB管理が難しい非構造化データは80%にもなるという。さらに今後20年間で全世界のデジタルデータが約44倍にも膨れ上がる(IDC調べ)といわれ、企業にとって情報管理の効率化は大きな課題だ。果たして、どのように有用な情報を発見して活用し、ITガバナンスを強化するべきなのか。オートノミー株式会社 第三営業部部長 曽山哲良氏が事例ととともに情報管理を自動化するITプラットフォームのあり方を紹介した。
組織内に埋もれる膨大な非構造化データを企業活動に活かす
英国ケンブリッジ大学の研究者により設立された、エンタープライズソフトウェア企業であるオートノミー社。現在は世界34拠点へと展開し、エンタープライズサーチなど、ソフトウェアへの技術的OEM提供にも力を入れるほか、メディアやIT、政府機関/調査機関など、2万社にのぼる様々な業種業態の企業や組織を顧客としている。あるメディア企業では画像や動画を効率に整理し、活用するために導入され、電力などのエネルギー企業では安全管理システムで活用されている。その他にも、IT企業での全社情報共有、R&D部門での研究論文や技術情報の自動分類など、事例は枚挙に暇がない。

曽山氏は「どんな業界業種でも、事業で得たナレッジや情報を蓄積するだけでなく、活用することの重要性が広く認知されている」と語りながらも、「基幹業務システム上にある構造化されたデータは社内の情報量のほんの20%に過ぎず、企業が保有する情報のほとんどが、メールや文書、社内外サイト上にあるコンテンツなど、非構造化データであり、十分に行かすことができないでいる企業が多い」と指摘する。部門ごと権限や管理の問題、情報の属人化などが災いしているというわけだ。
しかし、この混沌とした非構造化データも「オートノミー独自のアルゴリズム」によって整理ができると曽山氏は語る。それも既存のシステム設計を壊す必要がなく、そのままのデータを自動的に連携させて分類・整理することができるというわけだ。さらにその整理されたデータをビジュアル化できるため、視覚的直感的に「埋もれた貴重な情報」に辿り着くことも容易だという。
このオートノミーのエンタープライズサーチソリューション「Intelligent Data Operating Layer(以下、IDOL)」は、現在、さまざまな形で企業に提供されている。たとえば、社内での情報共有として使われている例としては、全社情報共有のほか、R&D部門での研究論文や技術情報の自動分類などがある。また社外への情報提供として、カスタマーサービスベージなどに導入されるといった使われ方もしている。
また、エンタープライズサーチとして、SharePoint、メール、基幹業務アプリケーションなどの既存システムとの連携による検索システムとしても使用されており、プラットフォームに依存せず、動画や音声なども含め、あらゆるものを検索することができる。テキスト検索はもちろん、ドキュメントの内容に基づいて検索する「概念検索」も可能だ。たとえば「ワールドカップ」に関する情報を検索すると、「アジアカップ」や「セリエA」というような関連性の高い情報を自動的に引き出して来るというわけである。
曽山氏はIDOLが活用された検索システムの画面例を紹介し、「常に自分が必要とする情報を検索して引き出してくるだけでなく、用途や目的に応じた情報収集が容易にできる」と説明した。たとえば、管理情報の分布を視覚的に表示したり、関心事項をプッシュ型で自動的に掲載したり、また関心事項に詳しい人を表示したりすることもできるという。
曽山氏はこうしたIDOLの活用によって、企業における業務活動が大きく変わると力説する。IDOLによって資料検索が容易になれば、これまでの資料探しの時間が削減され、その分生産的な活動に注力することができる。もちろん情報精度や速度が上がれば仕事の質も向上するに違いない。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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