Denaliの新機能から見るSQL Serverの目指す方向
SQL Server に限ったことではないと思いますが、ある製品の新たなバージョンが計画されるときに、その製品をもっと魅力的にすると考えられる、あらゆる機能を全て追加することはほぼ不可能といえるでしょう。そこには、投入できるコストの制限があり、守らなければならないリリース期日があります。そのため、機能の絞り込みが行われ優先順位付けされることによって、たくさんの追加機能の候補が計画段階でふるいにかけられます。
こうした結果として、実装することが決まった各機能を見渡すことは、その新規バージョンで製品が目指す方向を、はかり知ることにつながるとも言えるのではないでしょうか。Denali で追加された新機能を、そのような視点から見てみるのも興味深いかもしれません。
1. AlwaysOn
さて、それでは最初の新機能として AlwaysOn を紹介します。
いわば「いつでも使える」という、やや抽象的な機能ですが、その名の示す通り高可用性 (High Availability) を飛躍的に高めるための、多くの基礎技術の組み合わせによって実現されています。
従来の SQL Server でも、データベースミラーリング、フェールオーバークラスタリング、レプリケーション、ログ配布といった複数の機能があります。ただし、それぞれの機能が高可用性を実現するためにカバーできる範囲が限られているため、複数の機能を組み合わせて設定する必要がありました。
そこで AlwaysOn では、ひとつの機能として高可用性を実現するソリューションを提供します。一つの機能となったことで、設定作業がシンプルになり、運用や管理に必要な情報も一元管理することができるようになりました。それに加えて、新たな機能として次のような利点があげられます。
-複数のデータコピーの保持
最大 5 個までのデータコピーを保持しながら、従来のデータベースミラーリングと同等のフェールオーバー速度を実現することができます。
- セカンダリコピーの活用
データベーススナップショットなどを設定することなく、読み込み専用としてセカンダリサイト(*実データの更新が行われるプライマリサイト以外のサイト注1) のデータにアクセスすることができます。
このように、高可用性を、よりシンプルに、より堅実に実現するための機能として AlwaysOn が用意されています。