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第5回 システム管理者感謝の日イベント

「集まれ若いチカラ!システム管理者のための夏期講習!」


 ITシステム管理者をバックアップするために7月の最終金曜日に開催された「システム管理者感謝の日」。7月21日には第5回となる「システム管理者感謝の日イベント」が開催された。今年のテーマは「集まれ若いチカラ!システム管理者のための夏期講習!」。テーマどおり会場には、若いシステム管理者の姿も多く見られ、大いに賑わった。その模様を紹介する。

若いシステムエンジニアに業界におけるイノベーションを

 開会の挨拶には、会を主催する「システム管理者の会」の発起人であり、事務局を務める株式会社ビーエスピー 代表取締役社長の竹藤浩樹氏が登壇。国連による「世界の平均年齢」についてのデータを紹介しながら「世界の平均年齢が29歳に対して、日本の平均年齢は45.5歳。少子高齢化は既に進んでいる。一方、アジアや米国は2040年以降も30代をキープすることがわかっており、そうした国々と渡り合っていかなければならない。スピード化が進むビジネス界で若さは重要なポイント。柔軟で斬新な発想をどのようにしていくのか、大きな課題である」と高齢化についての懸念を示した。

 そして、今回のテーマである「集まれ若いチカラ!システム管理者のための夏期講習!」を紹介。「クラウドなどの新しいビジネスが普及しつつあり、システム管理者もイノベーションを図っていかなければならない。ぜひとも若いシステム管理者が大きく成長し、力を発揮できるような、そんな支援をしていきたい」と会の主旨について説明した。

基調講演『システムはなぜダウンするのか 』

 続く基調講演では、『システムはなぜダウンするのか』などの著者である日経コンピュータ副編集長の大和田尚孝氏が『システムはなぜダウンするのか ~知っておきたいシステム障害、信頼性の基礎知識~』と題して基調講演を行なった。

 大規模システムのダウンが続いているが、なかなか詳らかになることはない。隠蔽されがちな失敗事例を大和田氏は詳細に取材し、失敗事例の問題点には共通点があると指摘。失敗から学び、次に活かすことを考えてほしいと講演の意図を語った。

  たとえば、システムダウンを記録していくと、同じ企業に集中して起きていることがわかる。そうした企業に取材してみると、業務の中でミスがミスを生む「負の連鎖」になっていることが明らかだという。ここから脱却し「正の連鎖」へと転換するためにはどうしたらいいのか。大和田氏は「根本原因を追求し、連鎖を遡ることが必要。そのためには経営層が徹底して取り組む姿勢を見せることが不可欠」と経営層のリーダーシップに鍵であることを示唆した。ある会社では社長自身がシステムの重要性を強調し、社内の意識を高めている。運用体制の強化や代替手段の検討、ルールの策定など、経営層が行うべき対策は多い。大和田氏は「ダウン時ほどチームワークが重要。それだけに全体を俯瞰し、連携させる方法を考えることが経営層の仕事」と指摘した。そして、最後に「ダウンや開発失敗は、システムからのSOSだ。これをしっかりと見直すことで、信頼性向上とIT啓蒙につなげることができる。そのためにもリーダーを動かすための工夫をしてほしい」と結んだ。

パネルディスカッション『10年後も通用するシステム運用の基本を身につける』

パネルディスカッション
パネルディスカッション

 パネルディスカッションでは、株式会社リコーの灰谷公良氏、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社の太田竜児氏、株式会社フジミックの福井俊博氏がパネラーとして登場。引き続き日経コンピュータの大和田氏がモデレータとなり、システム運用について意見の交換を行った。

 「安定稼働とは何か」というベーシックな質問から、「安定稼働のためにはどうしたらいいのか」という解決策まで様々なトピックスが登場。「ずっと安定していると予算がつかない。必要悪ではないが、時々トラブルがあった方が、重要な障害が生じたときのインパクトを想像しやすく、そのための予算がつきやすい」(灰谷氏)といった実際の管理者ならではの本音が出たり、「安定稼働のためには継続性が大切。当社ではヒヤリハットを出し、対応していくためにインセンティブを設けている」(太田氏)や、「安定稼働を妨げる要因は、製品の品質低下のほか、組織の縦割り、コミュニケーション不足などがあげられる。開発運用、活用のそれぞれの部門が連携することが大切」(福井氏)など、様々な経験を重ねたベテランのシステム管理者ならではの意見やナレッジが紹介された。ほか、移行時、バッチ突抜、電源ミス、監視ツールのドミノ倒しなどのシステムトラブルの経験などが紹介された。最後に大和田氏が「感謝の気持ちを持ちつつ、日々の継続の中から総合力を磨こうという姿勢が、今後も通用するスキルにつながるのではないか。そういう意味で、不幸にしてトラブルにあった場合も、経験を積む好機としてポジティブに捉えて取り組んでほしい」とメッセージを送り、まとめとした。

システム管理者を励ます「表彰式」や「ライブ」なども

 セッションのあとは、川柳と写真のコンテストの優秀作品への表彰が行われた。システム管理者の実感がこめられた作品に、会場はほのぼのとした笑いに包まれた。その後は、システム管理者認定試験合格者の表彰や、後援スポンサーや新規賛同企業の紹介が行われた。

 続くシステム管理者の会の活動については、システム管理者の会推進委員の株式会社ビーエスビーの増田栄治氏より紹介が行われた。現在登録会員数は7011名となり、2010年度の登録数は4007名と飛躍的に増え、企業の登録も好調に増加している。また、カンファレンスの開催報告やサイトのリニューアル、システム管理者認定講座の内容改訂などの紹介が行われた。システム管理者認定講座の認定講座が、全日本日本能率連盟の登録資格になり、より実用的なものになっていく予定だという。社団法人全日本日本能率連盟事務局長の橋本佳名子氏より、その価値と意義について説明が行われた。

 そして演者が伏せられた「シークレットライブ」では、アイドルユニット「アイドリング」の総勢10名が登場。カラフルな衣装に身を包んだアイドルたちが「私たちが便利な生活をできるのは、ここにいるシステム管理者の皆さんのおかげ」と語り、華やかなパフォーマンスを披露。システム管理者、とりわけ若い管理者への大きな励ましとなった。

アイドリングも登場
アイドリングも登場

 閉会の挨拶には、推進委員の株式会社フジテレビジョンの伊藤春男氏が登壇。厳しい環境下でハングリー精神を失わず、ワールドカップで金メダルに輝いた女子サッカー「なでしこジャパン」になぞらえ、「厳しい環境の中にこそ、チャンスもある。業務を支えるシステム管理者が前向きに取り組むことで、企業の活性化を進める原動力にもなる」と語り、参加者を激励した。盛況のうちに会は終了し、閉会後はシステム管理者同士の交流の場としてチャリティ懇親会が行なわれた。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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