ポーターズは2001年8月に創業。その1年後となる2002年9月に人材紹介会社向けのSaaS型業務管理システム「プロ・エージェント」を提供開始した。ポーターズ代表取締役の西森康二氏によると、当時SaaSのような形態で人材紹介会社向けに業務管理システムを提供するモデルはなく、ユーザー企業が順調に推移したという。現在同システムは、ジェイ エイ シー リクルートメントやインテリジェンス、パソナフォーチュンといった業界大手を含め、500社以上に導入されている。
西森氏は、厚生労働省発表の「平成22年度職業紹介事業報告の集計結果」から、「人材ビジネス業界では、求職件数が420万件、求人件数が205万件となっているのに、実際に就職に結びついた件数は38万件に過ぎない。つまり解決できていない求人求職ニーズが多数あるということだ」と述べる。その理由として同氏は、「求人ニーズが多様化かつ専門化しており、専門性の高いマッチングができないといったサービス上の課題に加え、システムを開発するにも開発委託業者に人材ビジネスのノウハウがないことや、マッチングの精度や業務改善などでシステムの修正が必要となることなど、システム上の課題がある」と説明。こうした課題をふまえ、「人材ビジネスに関わる企業の課題に応えるというポーターズのミッションの下、技術的に洗練されたソリューションが必要だと感じ、2年前から研究開発を続けた」としている。
今回発表したHR-Business Cloudは、人材ビジネスのための顧客管理や営業管理機能を提供するアプリケーションプラットフォーム「HR Apps Platform」と、企業向けソーシャルネットワークを構築するためのプラットフォーム「Links」で構成される。HR Apps Platformは4月2日より提供開始し、Linksは2012年内の提供開始を予定している。
HR Apps Platformは、独自のアルゴリズムによるリアルタイムで高精度なマッチングエンジンを備えている。このマッチングエンジンは、求職者の履歴書や求人票の添付ファイルなどすべてのテキスト情報からキーワード検索が可能なほか、求職者の属性やプロフィールの要素に合った求人情報をリアルタイムに抽出し、自動的に求職者に知らせるレコメンデーションエンジンも搭載している。
このHR Apps Platformを活用し、「Enterprise Application」「User Application」「Third Party Application」の3つのアプリケーションを展開する。
Enterprise Applicationでは、顧客管理、求人および求職オーダー管理、マッチング、選考管理、売上管理など、人材ビジネスにて業務上必要な機能が標準で提供される。User Applicationは、顧客が必要なアプリケーションを自由に開発するもの。開発は主にパートナー企業が担当し、APIでHR-Business Cloudと連携する。Third Party Applicationは、サードパーティが開発するもので、求職者開拓サイト、勤怠管理、CTI、名刺入力といった領域にて、初年度に30個のアプリケーションが提供できることを目指すという。
一方、年内に提供開始が予定されているLinksは、社内コミュニケーションだけでなく、顧客やアライアンスパートナーとのコミュニケーションを行うためのプラットフォーム。通常のSNSと異なり、採用情報を安全に流通できることが特徴だという。詳細は後日発表される予定だ。
HR-Business Cloudは、国内2カ所のデータセンターにてネットワーク、サーバ、データベースを多重化し、国外データセンターへのバックアップによる災害時の事業継続性も確保している。西森氏は、「これまでの実績で稼働率99.9%を上回っており、HR-Business Cloudでも99.9%のSLAを確保する」としている。
HR-Business Cloudの基本料金は、ユーザー数10名までが月額1人1万2500円、ユーザー数11名以降が月額1人5000円。2015年までに国内1万ユーザーの獲得と本格的な海外展開を目指すという。