Engineered SystemsでITの複雑性を排除する
4月4日、Oracle OpenWorld Tokyo 2012が東京六本木で開幕した。
初日のキーノートセッションのステージに登場した日本オラクルCEOの遠藤隆雄社長は、今回のイベントのテーマが"Engineered for Innovation"だと宣言。これはハードウェア、ソフトウェア技術の融合により新しいビジネスモデルが生まれることであり、新しいビジネスモデルを結びつけることで、さらに新しい産業が生まれる。そうなれば、それが世界を変えることにつながると説明する。そして、厳しい経済環境にある日本においても、その状況を改革するには大きなイノベーションが必要になると言い、それらを支援するのがOracleだとのこと。
そのハードウェアとソフトウェアの融合で世界を変えるOracleの戦略について話をしたのが、米国Oracleコーポレーションのプレジデント マーク・ハード氏。ハード氏はデジタル化したデータが増えている、また、スマートフォンの登場で、手の平の中に30年前のメインフレームより強力なコンピュータパワーがあると言う。さらに、SNSなどの新たなコンシューマITの世界が登場し、ビジネスITとコンシューマITの世界が融合されつつあり、ITの環境がものすごい勢いで進化していると指摘する。
そのような急激な変化があるにもかかわらず、企業のIT環境は、その多くがいまだかなり古いものを使っているとのこと。ある調査によると、企業のアプリケーションの稼働環境は平均で20年を超えているとか。つまり20年前のインフラを利用しているわけで、その結果多くの人々は「遅いことに慣れてしまっている」のだと指摘する。そのため、たとえばどこかのコールセンターに問い合わせをしても、数分間待たされるのは当たり前だと思っていると。ところが、次代を担う子供たちはそうはいかない。彼らは、コンシューマITの最新の環境に慣れ親しんでいるので、何らかのアクションを起こしたら、すぐに答えが返ってくるというのが当たり前となっているのだ。
慣れてしまった遅い現実を解消し、子供たちでも納得できる「速さ」がビジネスITの世界でも当然必要であり、それを実現するための投資をOracleは続けているとのこと。その結果としてOracleが目指しているのが、"Simplify IT"。ハード氏は、「クラウドがなぜ人気があるかと言えば、それは複雑性を排除しているから」だと言い、シンプルであることがいまITのトレンドだと説明する。
このSimplify ITを実現するのが、同社のExadataをはじめとするEngineered Systemsということになる。インフラからアプリケーションまですべてのスタックを提供することで垂直統合化を目指す。パーツを揃えるためにさらなる買収などにも投資を続けているとのこと。揃ったパーツをOracle自信が蜜に連携、融合させることで最適化する。その際には「機能性が高いだけでなく、シンプルであることが重要」だとハード氏。
この戦略は、米国だけのものではなくワールドワイドの戦略。そのために人も増やしているし、研究開発にも投資を続けている。さらには、パートナーとの協業部分にも投資をし、これらを強力に推し進めることで、Simplify ITを目指して行くとのことだ。