Parallelsといえば、Mac用の仮想化製品でコンシューマ分野でも有名だが、エンタプライズ向け、特にクラウドサービス事業者への仮想化ソリューションの分野を日本でも強化している。
今回Parallelsが提供するクラウド型ストレージは「Parallels Cloud Strage」という分散共有ストレージソリューションであり、コンテナ仮想化、ハイパーバイザ仮想化と組み合わせて、「Parallels Cloud Server6」というソリューションとなる。
ハイパーバイザ仮想化は物理ハードウェア、OSの上にハイパーバイザが置かれ、OS、アプリケーションが乗る。バーチャルマシンとしてのハードウェアを仮想化する形。パフォーマンスは重くなるが複数のOSを搭載できる。
一方のコンテナ型は、ハードの上にOSと同等のものが実行されその上にコンテナが乗りアプリケーションが実行される。ハイパーバイザよりもレイヤー数が少なくより直接的なので、効率が高い。ただ複数のOSの共存ができない。クラウド上の仮想化としてはコンテナ型が適している。
今回のParallels Cloud Strageは、おもにこのコンテナ仮想化環境を構築する上で、より柔軟かつ効率的なストレージを提供するというものである。
Parallelsで同製品を担当するアミール・シャリフ氏は、「Hadoopなどの分散コンピューティング環境や、Googleが展開してきた分散ファイルシステムのアーキテクチャーをストレージ分野で応用したものといってよい」と語る。
「調査によると多くの企業のサーバーのストレージは1テラバイトが平均。そのうち3分の2が空になっている。これらを共有のストレージとして仮想化上で利用することで、新たなハードウェアの資源を追加する必要もなく、かつ信頼性や拡張性も担保できる」(アミール・シャリフ氏)
Parallels Cloud Strageは、データを処理する「クライアント(Clients)」、ディスクドライブがある場所の「チャンクサーバー(CS)」、どのデータがどのドライブに格納されているかを判断し、クライアントがアクセスできるようにひとつのストレージオブジェクトを提示する「メタデータサーバー(MDS)」で3つで構成される。それぞれが冗長性と不具合に対する復元性を持っている。
これらは基本的には、クラウドサービスプロバイダー向けのコンテナ仮想化用に作られている。クライアントがオブジェクトを書き込んだ時、オブジェクトは共有プールに書き込まれ、いくつかのチャンクに分割され複数のディスクにまたがって保存される。デフォルトでは3回複製され、サーバーが落ちても別のクラスターに存在するデータへアクセスが可能になる。SATAディスクでも可能であるがSSDを用いることで、さらに高速化される。
「クラウドストレージの価値は、コスト効果とパフォーマンス。AmazonのS3は安価だがバックアップ用途が主で、仮想化環境を展開できない。柔軟性ではSANベースのストレージが強いが高額。CEPHやGlusterといった分散ファイルシステムも仮想化のチューニングには不向き。われわれの製品は安価で、クラウドサービスプロバイダ向けにかつ可用性が高く、かつ仮想化システム構築に適したスケールアウトを実現できるもの。」(アミール・シャリフ 氏)
同製品は、クラウドサービスプロバイダ向けに提供が開始されている。