Ziba濱口氏が語る、イノベーションに「アイデア出し」より「バイアス壊し」が重要な理由
Hitachi Platform Solutions World 2013基調講演レポート:前編
2013年7月11日、京橋の東京コンベンションホールにて、株式会社 日立製作所主催により、同社企業向けITプラットフォーム製品の紹介イベント「Hitachi Platform Solutions World 2013~日立とつくろう! 次世代のITプラットフォーム~」が開催された。基調講演では「ビジネスイノベーションと日本~日本人のイノベーション力が本来最強であるその理由~」と題し、数多くの企業のイノベーションをリードしてきた濱口秀司氏(デザインコンサルティング会社Ziba戦略ディレクター)が、日本人はイノベーションが苦手という通説を覆す持論「日本人イノベーション最強説」を展開した。講演レポート第1回の今回は、アイデアよりもバイアスに着目すべきという濱口氏の考え方が述べられた前半の内容を紹介する。
議論を生まなければイノベーションではない

まず濱口氏は、イノベーションの定義として、自身の「仕事の中で十分に機能している」という3要件を挙げた。
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見たこと、聞いたことがない
当たり前だが、以前に見聞きしたことのない、新しさがあること。 -
実行可能である
1の要件を満たしたうえで、与えられた範囲と期間で実現できるものであること。 -
議論を生む
賛成意見と反対意見が必ずあり、合意が形成されないこと。
3について、濱口氏は次のように解説した。
「あるコンセプトを出したとき、半数が面白い、残りが面白くないと言い、テンションが生まれれば、それはイノベーションだ。逆に、全員が賛成または反対でもイノベーションではない。なぜなら、見たことも聞いたこともないことを起こそうとするものである以上、イノベーションには不確実性が伴うからだ。不確実性については、どれだけ議論しても合意できない。合意できるのは、AかBかを選ぶといった意思決定だ」

アイデアよりバイアスを探せ
濱口氏は、イノベーションを実際に起こしていく方法論について、「とにかくバイアス、先入観を壊すことが第1歩」だと強調する。
「過激なことを言うと、ユーザーのニーズなど調べなくてもよい。企業はニーズを製品やサービスに結びつけるのは得意だから、すべてのリソースの80%をバイアス壊しにかけてもよいくらいだ。多くの人が持っているバイアスに対抗する新しいアイデアが、イノベーションを作っていくうえで最も重要なエンジンとなる」
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- この記事の著者
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有須 晶子(アリス ショウコ)
上智大学外国語学部英語学科卒業。翻訳会社、編集プロダクション勤務を経て、現在はフリーランスの編集者・翻訳者・ライター。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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