IBMラショナルが提唱する「デリバリーの高速化」とDevOps
今年2013年の6月に米国で開催されたIBMの「Innovate 2013」ではDevOpsが中心的なテーマと据えられていた。イベントの内容は記事で紹介したように、キーノートにはリーンスタートアップのエリック・リースが登壇し、各セッションでIBMラショナルのリーダーたちは、「迅速で継続的なリリース」を繰り返し強調していた。
開催中にIBM ラショナルのクリストフ・クロックナー氏は、編集部の取材に以下のようにコメントしてくれた。
「ビジネスのシステムを柔軟かつ戦略的にしていくためには、デリバリーを継続的におこなうことが重要だ。われわれは、そのためにスマートプロダクト、アジリティ、デリバリー分析という3つをDevOpsの成功の原則として掲げる。実行基盤として、Dev(開発)の側とOps(運用)の側の人間が共有するプラットフォームが必要となる。開発成果物の迅速なリリースと、デリバリーと変更を継続的におこなうための変更管理、さらにテストやアナリティクスとの連携をより強化する。ビルドやリリースを自動化させるための環境を提供していく。」(クリストフ・クロックナー氏)
こうした考えからIBMが、DevOpsの強化のために買収したのが、ソフトウェアデリバリ管理の自動化ツールのベンダーであるUrbanCodeである。早くもIBMの一連のソリューション体系に組み込み、日本でも7月から販売を開始し先日その戦略発表がおこなわれた。
"開発と運用の間にある壁"を解消するUrbanCode製品
1996年創業のUrbanCode社は、アプリケーションのリリース自動化における代表的なベンダーだ。大規模エンタープライズを含めて世界で400社以上の顧客を有している。多くのミドルウェア、データベース、プラットフォームをサポートしていることが特徴で、たとえばAmazonのクラウド環境へのアプリケーションのリリースにも使用されている。
IBMではこれまで、ソフトウェア開発チーム全体の生産性を高める統合ソリューション、 コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメント(CLM)の提供など、特に開発の領域でDevOps戦略を進めてきた。日本IBMラショナル事業部長の渡辺公成氏は「ボトルネックとなるのが、開発担当者と運用担当者の間にある“壁”だ。」と語る。具体的に言うと、プロセス、人、使われているツールに壁がある。その背景には、ビジネスの要求によりスピードを求められる開発側と、クラウドとオンプレミスの共存など複雑化する環境で24時間365日の安定性を第一とする運用側の考え方の違いがある。