DX人材が離れていく求人票とは──自部門は大丈夫? Web上の“悪い例”にみる2つの改善ポイント
第2回:DX人材は求人をどう見ている? 求人票を自部門の“アピールポイント”にする秘訣

DXの明暗を分ける重要な要素の一つが「人材」です。多くの企業は、育成とあわせて外部採用に注力していますが、優秀なDX人材を自社で確保することはそう簡単ではありません。そこで、連載「DX人材難のIT部門に捧ぐ『優秀な人材と自部門のマッチング法』」では、優秀とされるDX人材がどのような視点で転職する企業を選んでいるのかという視点から、自部門とDX人材のマッチング率を高める具体的施策を解説。DXを担当するDX部門やIT部門で人材採用に携わる、もしくは人材難に悩んでいる方に向けて、「採用」の視点からDXプロジェクトを成功させるヒントを届けます。第2回となる本記事では、自部門の第一印象を決める「求人票」にフォーカス。実際に公開されている求人票を例に、“DX人材に選ばれる求人票”のポイントを紹介していきます。
自部門の第一印象を左右する「求人票」の質
前回(連載第1回)は、優秀なDX人材が働く企業に何を求めているのか、どのような視点で転職先を見極めているのかについて説明しました。優秀なDX人材であればあるほど、企業が掲げるDX戦略と実行環境に矛盾がないかをシビアに見ているということ、そしてDX人材が実際にそれを見極めるためにチェックしている5つのポイントを紹介しています。
▼前回の連載記事はこちら:
前回説明した5つのポイントを踏まえてDXの実行環境を整備できたとして、それでもなお、求めるDX人材が思うように集まらないこともあるでしょう。そのような場合、次に対処すべき課題は採用のプロセスにあるかもしれません。
前回も触れましたが、DX人材の獲得競争が激化する昨今では、IT部門やDX部門が必要な人材を獲得するために採用の初期から携わるケースも増えてきました。とはいえ、これまで採用部門に任せていたことを、いざIT・DX部門でやろうとしても、採用に関する知見が十分に蓄積されていないために苦戦することも少なくありません。
たとえば、これはDX人材に限った話ではありませんが、採用において最も重きを置くべきものの一つが求人票だということをご存知でしょうか。求人票は、企業と求職者が最初に接点を持つ重要なタッチポイント。求職者にとっては、その企業の第一印象を求人票が決めるといっても過言でありません。
特に、現職で働きながら転職先を探しているDX人材は、限られた時間の中で多くの転職情報を確認して処理する必要があるため、求人票から得られる情報の質と量が応募判断に直結するといえます。しかし実際、転職市場に溢れているDX人材の求人票のなかには、DX人材が敬遠してしまうような求人票も多く見られます。
そこで今回は、「DX人材に嫌われる求人票」をテーマに、その改善ポイントを解説。自社もしくは自部門で出しているDX人材の求人票が、求めている人材を遠ざけてしまっていないか、改めて見直すきっかけにしていただければと思います。
求人を瞬時に判断? 忙しいDX人材の転職活動傾向
どの企業も求めるような優秀なDX人材は、よくわからない求人を見て、不明点を面接で確認するような猶予は持ち合わせていません。面接に進みたいと思う企業は必然的に限られてきます。
またDX人材は、「加点方式」ではなく「減点方式」で求人票を評価する傾向が強いことも特徴の一つに挙げられます。これは筆者が日々企業の採用イベントなどを支援する中でも特に感じています。つまり、求人票に少しでも違和感がある表現や情報の不足があれば、その求人は検討対象から外される可能性が高くなるということです。
では実際、どのような求人票が検討対象から外されてしまうのでしょうか。今回筆者は、2025年6月時点でWeb上に公開されている求人情報から、DX関連の求人を50件ピックアップし傾向を分析してみました。その結果を踏まえ、DX人材に嫌われる求人票の典型パターンと、それをどう改善すべきかについて考察していきます。
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武藤 竜耶(ムトウ タツヤ)
TECH PLAY Branding 事業責任者。インテリジェンス(現:パーソルキャリア)にて約4年間デジタル人材領域の採用支援を担当。その後デジタル人材領域の採用支援部門責任者として2年間部門立ち上げに取り組み、大手企業のDX組織採用体制コンサル、新会社立ち上げ組織支援、メガベンチャー大型採用戦略...
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