AIセーフティ・インスティテュートは、3月に設置された事業実証ワーキンググループ(WG)がまとめたビジョンペーパーを公開した。
同ペーパーでは、AIによる利便性と効率性の向上、不確実性と社会的リスクの増大が同時進行する状況において、社会や産業の持続的成長に不可欠なAIの利活用促進に向け、社会・産業・政策の各レベルにおけるAIセーフティ評価に関する共通理解の醸成と具体的な実装への道筋を示したとしている。
AIセーフティ評価の枠組み
AI技術が進化する中、AIモデル/システムをベースとするAIサービスによる利便性を享受できるようになる一方で、AIセーフティに関するリスクも常に変化しているという。そのため、AIセーフティ評価を通じてリスクの把握を行い、リスクが受容可能なレベルを超えている場合、リスクの軽減策を実施するループを回すことが、信頼に足るAIとしてAI利活用の促進につなげるための有用なアプローチになると考えられるとのことだ。
![AIセーフティ評価によるAI利活用促進[画像クリックで拡大]](http://ez-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/22368/1.png)
AIセーフティ評価によるAI利活用促進
[画像クリックで拡大]
サブワーキンググループ(SWG)の構成
各分野向けの検討を通じて実装に取り組む分野別(Vertical)SWG と、分野共通の評価手法を検討する分野横断(Horizontal)SWGによる体制を構築しているという。分野別SWGには、国際的関心が高く日本が強みを持つ分野であり、AI利活用促進とAIセーフティ確保が重要な領域であるヘルスケアおよびロボティクス、分野横断SWGには、各分野のAIセーフティ評価に共通で求められるデータ品質・適合性評価のSWGを設定しているとした。各SWGは、それぞれの役割を果たしつつ、相互補完・連携しながら進め、評価観点やツール整備を行うとしている。
![事業実証WGの体制イメージ(分野別(Vertical)SWGと分野横断(Horizontal)SWGを組み合わせた体制)[画像クリックで拡大]](http://ez-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/22368/2.png)
事業実証WGの体制イメージ(分野別(Vertical)SWGと分野横断(Horizontal)SWGを組み合わせた体制)
[画像クリックで拡大]
同書の構成(目次)
- 同書の位置付け
- はじめに
- 事業実証WGのビジョン
- SWGのビジョン(ヘルスケアSWG、ロボティクスSWG、データ品質SWG、適合性評価SWG)
- おわりに
- 参考文献
今後、AIの利活用を促進するAIセーフティ評価の確立に向けて、段階的・継続的な取り組みを実施する予定だという。また、必要に応じてSWGの増設も計画するとのことだ。
【関連記事】
・AI時代の“真のエンタープライズサーバー”に進化──最新版「IBM Power11」が発表
・AIイノベーションの急速な進行によって、企業のAI成熟度が全体的に低下──ServiceNow調査
・アシスト、「生成AI基礎力養成コース for AWS」を提供 AI人材を育成し、業務負担の軽減を支援
この記事は参考になりましたか?
- 関連リンク
- この記事の著者
-
EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア