製造業を変革させる7つの力
PTCが示す7つの変革の最初に挙げられるのが、「Digitization(デジタル化)」だ。いまや3次元CADなどを導入し、製品生産に必要な情報をデジタル化するのは当たり前。さまざまな情報のデジタル化で共有が容易となり、プロセスの自動化にも結びつく。
2つ目の変革が「Globalization(グローバル対応)」。生産拠点の海外展開は、すでに当たり前であり、それに加え「世界各国のニーズをどう捉え、製品に反映させるか。そして、拠点ごとに効率的な設計、生産、サービスを行う体制を、どう作ればいいかも考えなければなりません」と桑原氏。
グローバル化の進展で必要となるのが、「Regulation(規制対応)」だ。各国で生産、販売を行う際には、仕向け地ごとに規制や法律に厳密に対処する必要がある。これは、幅広く市場展開をすればするほど、対処すべき規制は増えることになる。
4つ目は「Personalization(パーソナル化)」。ニーズが多様化する中、個々のニーズに応えられるようカスタマイズした製品を提供したい。たとえば、工作機械など企業ごとに使い方が異なる場合は、1から個別に設計を行いニーズに合った製品を生産することもできる。とはいえこれには、手間もコストもかかってしまう。
「コンフィギュレーションを変更することで簡単にカスタマイズしたり、部品の標準化を行いその組み合わせのパターンで、さまざまなバリエーションに対処したりといった方法が必要です」(桑原氏)
5つ目の変革が「Software-Intensive Products(高まる組み込みソフトの重要性)」だ。PCや携帯電話だけでなく医療機器などさまざまな製品にソフトウェアが組み込まれている。ソフトウェアで多くの機能が実現され製品としての特長も生まれ、それが競合優位性にもなる。Personalizationの実現にも、ソフトウェアは極めて重要。とはいえ「製造業にとってソフトウェア開発は、これまではメインの業務ではありませんでした。そのような中、オフショアも利用しグローバルにソフトウェアを開発し統合しなければならない。これは、製造業の企業にとっては、大きなチャレンジです」と桑原氏は指摘する。
6つ目の変革は、「Connectivity(接続性)」だ。これは、「たとえばスマートシティは、ソフトウェアと機械、そして電気がつながることで実現します。スマート・プロダクツと呼ばれるような製品は、インターネットにつながることで新たな価値を生み出します」と説明する。また製品とメーカーがつながることで、予防保守など新たなアフターサービスの形も出ている。つながることで、新たなイノベーションが起こっているのだ。
最後は、「Servitization(サービタイゼーション)」。これまでは、いい製品を作り、それを顧客に販売し使ってもらうのがメーカーの仕事。なので、海外などではアフターサービスは、現地サービス会社に任せてしまうこともあった。任せてしまうと現地でどのような部品を調達し、どのような修理を行っているかは把握できない。それではせっかくいい製品を作っても、品質は担保されないことに。アフターサービスまで含め、メーカーが責任を持って対処する必要がある。さらに、生産した製品を使ってもらうことをサービスとする「Products as a Service」という考え方も出てきており、これらを実現するには、ITをうまく活用しなければならないというのが、PTCの見解だ。