SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

週刊DBオンライン 谷川耕一

Oracle Team USA奇跡の逆転劇の裏にデータ活用あり―America's Cupふりかえり


さて、先週のサンフランシスコからのOracle OpenWorldレポートはいかがだっただろうか。まだまだネタはたくさんあったので、おいおい追加取材などもしつつフォロー記事を挙げていきたい。そんな中、やっぱりこの件には少し触れておかないと。

ヨットには300のセンサーが搭載され勝利のためのデータ収集が行われていた

cap

 先日のレポートでも報告したが、3日目の午後に予定されていたメインイベントの1つ、ラリー・エリソンCEOの基調講演は急遽キャンセルとなった。ラリーがドタキャンしてまで手に入れたかったのがこれ「America's Cup」だ。国際的なヨットレースで1851年から開催されており、近代オリンピックやサッカーワールドカップなどよりもかなり歴史の古い世界競技。前回33回大会でスイスチームを破りBMW Oracle Racingが勝利。今回の34回大会が、Oracle Team USAにとっては初の防衛戦だった。

興奮を抑えつつ語るラリー
興奮を抑えつつ語るラリー

 ラリーはここ最近、このAmerica's Cupにとにかく入れ込んでいる。以前にも、イベントがヨットレースの日程に重なり、基調講演を現地からの中継で切り抜けたこともあった。

 しかし、今回は直前でのキャンセル、そしてトーマス・クリアン氏によるピンチヒッターだ。Oracleのビジネスの方向性を自ら発表するよりも、このカップの行方のほうがラリーには大事だったのだろう。

 というのも、チャンピオンにレギュレーションを決める上での多くの権限が与えられ、地の利を生かせるサンフランシスコベイでの開催だったにも関わらず、今回の大会では1対8と大きく負け越し、挑戦者のニュージーランドチームに大手をかけられてしまったのだ。そこからなんとか1つ1つ挽回し、この日の午前中の勝利で7勝8敗までこぎ着けた。となれば、大事な8勝目の行方を知らずに、基調講演をすることなどどのみちできなかっただろう。

 ピンチヒッターのクリアン氏の講演直後、待望の8勝目を挙げたことが会場に伝えられ参加者からは拍手が巻き起こった。同時に、Oracle関係者からは安堵のため息が聞こえたような気もした。さて、絶体絶命の状態から奇跡的な追撃で8勝8敗の5分に持ち込み、残り1戦に勝利したほうが優勝。がぜんサンフランシスコの街は、盛り上がりを見せたのだった。

観客はスタンディングオベーション
観客はスタンディングオベーション

前日までとは打って変わり、翌日の決勝戦の会場には多くの観客が押し寄せる事態に。

 幸運なことに、日本からOracle OpenWorldの取材に参加していたプレスは、この決勝観戦に招待してもらえたのだ。それも、食事と飲み物付き。決勝戦のレースは時間にして20分あまり、思っていたよりもあっという間に過ぎてしまった。

 出だしこそ、Oracle Team USAは躓き気味だったが、その後はどんどん差を広げ大きくライバルを引き離し勝利のゴールに飛び込んだのだ。

 さて、今回のヨットレース、勝負の裏ではデータが活用されていた話を紹介しておきたい。

 1勝8敗で負けていた状態からは、常に改善、改善の毎日だったとのこと。できることを、1つずつ確実に行った結果勝利だったようだ。とにかくあきらめないでやり続けることが大事で、その「やるべきこと」を見いだすところでデータが使われていた。


 Oracle Team USAでは、船体の構造自体には自信を持っていたようだ。なので、とにかくレースを行うたびに船に乗るクルーは学び続け、デザインチームはデータを収集し分析をする。ヨットには約300のセンサーが取り付けられており、レースを行うと1ギガバイトから2ギガバイトのデータが収集される。それらを分析し、次のレースで何をすればいいのかを考えたとのこと。当然ながら、地域の気象や海の状況など、あらゆる情報も事前に収集していたに違いない。それらをOracle Exadataなりを存分に使い、高度な分析、シミュレーションが行われていたのではと想像している(このあたりの詳細な説明は当日は行われなかった)。

 海や風という、ある意味気まぐれで予測しにくいものを相手にするヨットレース。データを蓄積し分析を繰り返せば、難しい予測もだんだんと精度が向上したに違いない。クルーのがんばりと、データの分析、これらがあってチーム一丸での勝利だったようだ。

次のページ
The Internet Things実現の鍵はJavaによる実装とそこから生まれる一貫性

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/5211 2013/10/02 11:10

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング