絶好調セールスフォースの社会貢献を最初から取り込んだ1%モデル
最初の基調講演は、ヒューイルイス&ニュースの演奏でスタートした。演奏に続いてステージに登場したのは、CEOのマーク・ベニオフ氏。
「もっとも強力なドラッグは、慈善事業だ」と、期待を裏切らぬ過激な「ベニオフ節」で観客を沸かせつつ、自分にとっていまもっとも没頭できる世界が社会貢献であることを明らかにした。
セールスフォースのビジネスは現在好調だ。四半期で初めて10億ドルの売り上げを突破し、年間で50億ドル超える見通しとのこと。順調な同社のビジネスモデルのコアとなっているのが、社会貢献を最初から取り込んだ1%モデル。これは、就業時間の1%、製品の1%、株式の1%を社会貢献に費やすというもので、Salesforce.comが創業した当初からのビジネスモデルだ。
この1%モデルは、いまやGoogleやVMwareなども取り入れている。彼らの、ビジネスの成功により、大きな規模での社会貢献が実現されている。この1%モデルを続けてきたことで、今回のイベントには6,000人ものNPO、NGOに関係する人たちが参加しているとのことだ。
会場に来ている企業の経営者、さらにはこれから起業しようとしている人たちすべてが、この取り組みを採用すれば世界が変わるとベニオフ氏は言う。企業として社会貢献に積極的に取り組むということも、米国で、世界でビジネスを成功させるためには、今後は必須の条件となるのかもしれない。
顧客のインターネットを構築するためのプラットフォーム「Salesforce1」
社会貢献に続いて話題としたのが、先日東京で行われたCustomer Company Tourでも語っていた、コンピュータの第3の波について。メインフレームのレガシーなコンピュータ時代が第1の波、続くクライアント/サーバーの世界が第2の波。現在は、あらゆるものがネットワークに接続されるようになった。これが第3の波だ。この現在進行中の第3の波で、重要なのは接続されているその後ろに必ず顧客がいるということ。
企業はその顧客より先に進んで、サービスや製品を提供できなければならない。そのためのプラットフォームとなるのが、今回新たに発表した「Salesforce1」だ。
「これは、カスタマープラットフォームであり、モバイルとソーシャルをクラウドに接続します。100% Salesforce.comでできており、APIですべてのものに接続することができます」(ベニオフ氏)
このSalesforce1は、モバイルからすべてにつながれるのが大きな特長だ。
「1つのボタンで、すぐに接続できます。Salesforce.comで作ったものがすぐに接続でき、よりよいものになります。それにより、顧客と1対1で、常に接続できるようになるのです」(ベニオフ氏)
ベニオフ氏は、すべてがつながる、その後ろに顧客がいることの例として、自ら愛用しているフィリップスのWiFi機能付きの歯ブラシを取り出した。この歯ブラシを使うことで、どこでいつどれだけ歯を磨いたかの情報がクラウドに蓄積され、その情報をもとに、たとえばかかりつけの歯科医で日々どれだけ、どのように歯を磨いているかの話題が交わされるようになると言う。こういったことが歯ブラシ以外の製品でも増えていけば、たとえば製品を通して人の健康をトラブルに発展する前に管理することも可能になる。
このことは、たんに製品がネットワークに接続するというだけではない。その製品を提供している会社と顧客がつながることであり、顧客はこのように新しい形で企業と接点を持ちたいと考えているのだとベニオフ氏は言う。製品は企業の窓口でもあるというわけだ。
顧客のインターネット時代には、どの会社もカスタマー・カンパニーにならなければならない。顧客志向の会社にならないと、ビジネスでは成功できない。できなければ、他社がそれをやってしまうからだ。
「あなたの会社は、顧客のインターネットを実現するために、変化する準備はできていますか。たとえば、あなたの会社の製品やWebサイトには、カスタマーサービスへ連絡するボタンが付いているだろうか。Amazon Kindleのサポートページには、サポートへ連絡するボタンがすでにあります。すべての製品にこういったボタンが付くべきです」(ベニオフ氏)