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「消費者との共創」をいかに実現するのか?コ・イノベーション時代のビジネスモデルを考える

第10回:イノベーションに効く翻訳書06:『コ・イノベーション経営: 価値共創の未来に向けて』 

価値共創を解明する

 本書において、このような上質の「価値の生成と提供」に必要とされる主要なテーマとして、価値共創を支える諸要素(第2章)、共創経験(第3章)、経験のイノベーション(第4章)、経験のパーソナル化(第5章)と、事例を踏まえながら詳細に説明されています(図2)。

価値共創のテーマ
図2:価値共創のテーマと主要な要素

 さらに第6章において、企業と消費者(1対1の関係)、企業と消費者コミュニティ(1対多)、多数の企業と多数の消費者(多対多)という進展に伴って、価値の独自性と消費者との関係の親密性が増す「経験ネットワーク」の構図が説明されています(図3)。

価値共創ネットワーク
図3:価値共創ネットワーク

 究極的には、価値を提供する側とそれを受取る側といった分類が意味をなさない場合もあり得るでしょう。たとえば、オープンソース・ソフトウェア開発に参加する人や企業は、あるケースにおいては価値を提供し、他のケースにおいては価値を受け取ることがあるからです。これは、「バリューコンステレーション(価値星座)」と呼ばれ、特定の価値生成とその受け取りに対して、不特定多数の企業や個人が関与する緩やかな生態系ネットワークを指すものです。

次のページ
価値創造システムを「消費者と企業が共創する」ものとして変革する

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

 ITコンサルティング会社所属。IT業界において20年以上にわたり、営業、事業企画、マーケティング、コンサルティングと幅広い役割に従事。2年前のある日、「日本のビジネスに光を!」という天からの啓示を受けて以来、ビジネス構造の究明と可視化に没頭中。好きな言葉は、「人生とは、別の計画を作るのに忙しいときに起こる出来事である。」(ジョン・レノン)Facebookページ「ビジネスアーキテクチャー研究ラボ」を運営中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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