効果的に「グリーンIT」を実現するためには、全体を俯瞰的に把握して最適化を図っていくことが不可欠である。ヒューレット・パッカード(以下、HP)はそうした統合的な「グリーンIT」を牽引する数少ない企業の1つだ。長期に渡り、ベンダー&ユーザーの両面からITの環境配慮に取り組んできた。その背景にある考え方と、今後の取り組みについて日本HPの高原明彦氏に伺った。(IT Compliance Review vol.7より転載)
環境配慮に対するミッション
HPの環境配慮活動の歴史は1957年にまで遡る。当時からHPは企業活動の目標の1つとして「良き市民であれ(グローバル・シチズンシップ)」を打ち出しており、その対象は事業を展開する地域社会から、グローバル化とともに地球規模に広がりつつある。
環境に配慮した事業活動について、HPではおおまかに4つに分類している。まず、PCを中心とするHP製品の「リサイクル&リユーズの推進」。そして、ベンダー約300社を巻き込んだ「環境配慮による設計」。3つ目はパートナーとの協業による「サプライチェーンの効率化」、そして「自社とユーザーのエネルギー消費量の削減」である。
「環境配慮は当然のようにHPの文化として既に存在していましたから、それをあえて声高に言うのは少々面映くありました。しかし、昨年から『グリーンIT』が注目されはじめたこともあり、改めて方針を打ち出したというわけです」と同社マーケティング統轄本部 Adaptive infrastructure ビジネス本部 担当マネージャの高原明彦氏はそのいきさつを語る。
テクノロジーソリューション事業統括マーケティング統轄本部
高原明彦氏

環境配慮における取り組みの実績は随一を誇る。既にリサイクルは1年で50万トン、リユーズも500億円規模となっており、環境配慮設計プログラムは1992年、サプライチェーンにおけるこん包材管理システムは1994年にいちはやく稼働している。製品の環境配慮については、米国の電気機器の省電力化プログラムである「エナジースター」が更新されるより以前に、その基準をクリアした製品を発売したことも記憶に新しい。身近な話題から、HP製品の環境配慮への取り組みの先進性を感じた人も多いだろう。
また、世界各国のベンダーに、HPと同等の環境配慮基準を設けるよう協力を呼びかけるなど、環境配慮における推進役、指導役としての活動も活発であり、自社のエネルギー消費量についても、2007年3月に立てた「2010年までに2005年比でエネルギー消費量を20%削減する」という目標に対し、2007年で既に19・2%まで削減。そこで2008年2月に、削減目標を25%へと変更したところだという。
こうした実績は社会的にも認められており、Fortune誌が環境配慮に貢献した会社として選んだ「10 Green Giant」として、IT企業としては唯一の栄誉に輝いている。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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