米パラレルス(Parallels)は2月24日から3日間、米国ニューオーリンズで「Parallels Summit2014」を開催している。米国でのSMB(中小規模企業)分野で急速に拡大しているクラウド・コンピューティング。そのビジネス機会を求めてISVやホスティング事業者、サービスプロバイダーによる新たな市場が生まれてきている。
ニューオーリンズにクラウド企業が結集

米パラレルス(Parallels)は、米国のクラウド・ソリューションベンダーである。コンシューマ市場では、MacintoshでWindowsを走らせるための仮想化ソフトで世界的に有名だが、メインのB2B分野では中堅・中小企業(以下SMB)向けのクラウドソリューションの代表企業である。
エンタープライズやデータセンターなどの大規模企業ではなく、SMBを対象としたISVやホスティング、サービスプロバイダーの領域に的を絞り、仮想化技術を活かしたクラウドコンピューティングの基盤の提供が、パラレルスのコアのビジネスだ。ISV(独立系ソフトウェア企業)が作り上げたアプリケーションを、コンソール・パネル、自動化、仮想化技術を用い、SaaSなど各種クラウドアプリケーションを統合し、クラウドビジネスをおこなうためのソリューションを提供している。
この「Parallels Summit2014」は、マルディグラの祭りを控え、街中がパレードで賑わい出したルイジアナ州ニューオーリンズのハイアット・リージェンシーで、3日間開催されている。このイベントにあわせ、いくつかの製品の発表や、米国SMBクラウド市場の調査資料が公開された。その初日の講演内容を紹介する。
SMBクラウドのエコシステムが生まれている

バーガー・スティーン氏は、グローバルなSMB市場とクラウドについて語る。
「SMB市場のクラウドを語るキーワードは成長と細分化だ。成長の例は、マイクロソフトのOffice365がこの1年で46%伸びたことだ。しかし問題は細分化だ。一般のSMB(中小企業)が、インターネットのビジネスを始めようとしてクラウドを導入するには、各種のサービスをそれぞれ別に導入しなければならない。中小企業がクラウドを導入する場合、12種類ぐらいのベンダーとの取引が生じる。ドメイン事業者、通信、Webデザイナー、メール、セキュリティ、決済などだ。それぞれ別々にアプローチするのはIT部門の弱いSMBにとっては、非常に煩雑だ。そのため49%の企業がサービスをISVから導入している。クラウドのサービスを一括して、導入したいと思う企業は多い。」

Parallelsの製品・サービスは、ISVやホスティング事業者が、ビジネスを展開するためのサーバ、ストレージ、SaaS、決済、デプロイを統合したサービスとして、ユーザー企業に提供するためのものである。WORDPRESS、OpenStackからマイクロソフトのクラウドOS、シマンテックなどのクラウドセキュリティまで、あらゆるクラウドのサービスを包含している。中でも今回注目されているのが、IBMに加わったSoft Layerだ。

「SoftLayerはSMBのクラウド化を進める上で最も適したパートナーだ。SMB企業にクラウドサービスを提供したいISVとSoftLayerのIaaSは相性が良い。彼らと組むことで、ISVが持つ膨大なアプリケーション資産をクラウドとして提供することができる。」
細分化したクラウドの製品・サービスを組み合わせ、SMB企業に安価に提供することで、潜在的なクラウドの市場の拡大を狙うParallelsの戦略。今回のParallels Summit 2014で強調されているのは、クラウドの新たなエコシステムである。(以下続報予定)
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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