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Azureに、のせてみた。

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クラウドSIとして、マイクロソフトにいっておきたいこと

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「VPNでデータ通信すると
速くなった感がない」(足利氏)

 谷川:クラウドSIってまだ確立してないのかもしれませんね。

 足利:これからなのでしょう。

 谷川:責任範囲とか、ここまではMSに責任を負わせて情報を出させるとか、SIを担当する側で分かってこないですね。

 鈴木:クラウドSIにおいても、ノウハウや経験がかなり必要になりますね。

 谷川:新しいWindowsが出てきたら使いこなせなければならないのと同じで、Azureの環境を使いこなせないといけない。苦労された点はほかにもありますか?東京のデータセンターがなかった時代だからこんなことが起きたとかは?

 足利:東京データセンターができて、性能測定は随時行っています。

 谷川:検証する上で使いにくいとか。ここは何とかならないのとかありますか?

 足利:VPNを使って香港と東日本のレイテンシーではなくスループットを測定したら回線が悪いのか、東日本が重たいような……。

 北川:それは、VPNだと性能が出ないのでは?

 足利:そう、思ったより出ない。普通のレイテンシーなら3倍くらい、速いのですが、VPNでデータ通信すると速くなった感がない。

 北川・鈴木:アーッ(思い当たる節が、という顔で)

 足利:VPNだから仕方がないのかなと思うんですが。

 北川:レイテンシーの差が吸収されてますよね。

 鈴木:そうそう。

 谷川:どういうことですか?

 北川:たとえばお客さんが使う回線は、契約している会社の回線とAzureまでの回線などがあります。VPNだと経路により、遅い回線を経由するとそこがボトルネックになってしまうのです。

 谷川:遅い方にひっぱられる。

 北川:たとえば、東日本データセンターと会社のゲートウェイ、ゲートウェイから各フロアのルータ、ルータから利用されている PCという経路になりますよね。どこかがぱつぱつになると、そこにひっぱられてスループットが変化します。

 谷川:VPNの仕組みが違えば変わる?

 足利:将来専用線が計画されているそうなので、それが実現すれば解消できるかなと考えています。

 北川:回線に関しては ExpressRouteを契約することで「翌日から高速に」というのがあります。

 谷川:この前話していたビットアイル(データセンター事業者とAzureを高速につなぐ)の話かな?

 北川:たとえば、東日本データセンターとビットアイルの間が、ExpressRoute で高速回線となったとすると、ビットアイルでは広域フレッツ網での接続サービスも提供していますので、ビットアイルのセンターとお客様のオフィスとの間を広域フレッツ網による VPN でつなぐことができます。こうすると、お客様の会社までで発生するボトルネックが減ります。

 谷川:このあたりは実際にAzureを使っていないとわからない話ですね。

 足利:遅くなる理由は理解できるけど、同じ環境でテストして、同じ筐体で日本につないでテストしたんですが、あまり変わらず……。あら?って感じで。

 谷川:自分たちの開発環境でやっているレスポンスとお客さんのレスポンスがずれちゃう可能性があるってことですね。お客さんの環境で速くなるならいいですけど。より現場の環境に近い検証をしないと、納品してから「遅いじゃない」ってクレームになりかねない。今回は災害対策でしたが、もしプライマリをAzureで使うならネットワーク経路のことも考えないといけませんね。

 真田:今回のとは別の事例ですけど、社内にVPNでデータをひっぱると遅いので結果的にはインターネット経由のほうが早かったことがありました。

 谷川:それ、お客さんが許せば速いし安くなるということですよね。

 足利:SQL Serverの回線だけ考えると、VPNでなくても。

 北川:ただしポート開けっ放しにするのは抵抗感とかもあります。ポート開けるとものすごい数のアタックを覚悟しなくてはいけません。

 谷川:ははは(笑)。

 北川:1433が開いていると分かった瞬間にすさまじいアタックが。

 谷川:気持ちのいいものじゃないですね。

 北川:ポートを変えたりするだけでも減りますけど。AD認証にしてない限り、変えたくないでしょうね。

 谷川:単純にVPNにすればいいという問題でもないんですね。そのあたりはきちんと考えないと。今の災害対策とは別に、SQL ServerをAzureに乗せるのは(AlwaysOnを使うかは別として)感覚的にはどうですか?「いいんじゃない?」なのか、そうでないのか。

 真田:ポイントは可用性をどのくらい担保するかですよね。シンプルな構成でぽんとAzureにあげるなら全然問題ないと思います。どこまで基幹システムに広げられるか。どこまで耐えられるかをどう検証していくのかが課題になるかと思います。

 谷川:それは基本的にはオンプレのWindows環境にデータベース入れるのと同じ感覚ですか?むしろハードウェアの準備がないので楽になる?

 足利:ハードウェアはAzureがやるので楽になりますね。

 谷川:SIの立場としてはまずは検証で導入していくと。それであれば、心理的にはそう抵抗感がない?

 真田:そうですね。開発環境などは全く問題なく使えていて、その後でオンプレに落として使ったりしています。

 谷川:その使い方はいいですね。

 ~後編に続く

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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