メジャーバージョンアップに匹敵する拡張
「BIは会社の業績に貢献したいとずっと思ってきました。しかし、その思いがなかなか伝わらなかった。データを活かしてもらえる関係が、なかなかできなかったのです。それが、最近は、業績が向上したという話が聞けるようになりました。上場企業のトップがそう言ってくれます。それがたいへん嬉しい。ITに対して、データに対して経営者が興味を持っています。データを所有することから利用へ、クラウドの感覚で進んでいます。思っている以上に進んでいます」(内野氏)
企業が活用しようとしているデータの多様化が進んでいる。つまりBIが対象とするデータが多様化しており、それに対応しなければならない。ウイングアーク1stが、BIの中に地図をバンドルしたのもそういった理由から、顧客から地図上にいろいろ出したいという話があるのだという。
多様化に対応するもう1つのアプローチが、第三者データの提供サービスだ。そしてもう1つ重要なのがデータを利用する層の広がりだ。企業のさまざまな役職、立場の人が情報を活用したいと考えるようになったという。営業の現場でどんどん使いたい、会社のトップが自らダッシュボードを見る。そういった希望を反映して、今回のMotionBoard Ver.5.5ではさらにデータを見やすくする機能も搭載した。
もう1つ内野氏が強調したのが、性能、機能の向上に対するベンダーとしてのポリシーだった。前バージョンからどれくらい成長させるか。今回はおよそ75%の成長だとのこと。
「この流れをさらに加速したいと考えています。今回は、5.0から5.1にしてはあまりにも機能がアップしています。なので番号を飛び越して5.5にしました。思いを込めての5.5、ゴーゴー。メジャーバージョンアップで6にしてもいいくらいのものです」と内野氏。あらためて、製品に対する自信を見せた。
BI製品で世界初のリアルタイムGEOコーディングエンジン搭載
「今回実装した機能数は1,000を越えています。前回のメジャーバージョンアップ時に500くらい。毎年メジャーバージョンアップすると顧客に迷惑がかかると、今回は5.5としましたが、かなり野心的なものです」語るのは、開発本部 BI開発統括部 統括部長の島澤 甲氏だ。
進化の方向性は全方位で、統計分析、標準偏差といった分析機能の強化もあれば、データソースとなる異種データベースの結合機能もある。非常に多くのことをやったので、紹介する優先順位を決めるのが難しという。
5.0で加えた地図機能も今回大幅に進化させ、BI製品として世界初の独自リアルタイムGEOコーディングエンジンを搭載した。Web APIなどで住所データを地図上に表示できる緯度経度データに変換すると1秒間に数10件程度しかできないのが普通だ。なので、あらかじめ住所を緯度経度データに変換した中間テーブル持つことに。MotionBoardでは変換のリアルタイムエンジンを搭載したので中間テーブルは必要ない。なので、データ追加に合わせバッチ処理での中間テーブルやインデックスの更新といった処理もいらない。また位置情報変換では、IPアドレスにも今回新たに対応している。
発表会当日のデモンストレーションでは、ウイングアーク1st社内で集めた10万件の名刺データの住所リストを、一瞬で緯度経度に変換し名刺情報を地図上で可視化して見せた。「建物1つ1つのレベルで顧客を視覚化できます。これは他のBI製品ではできないところです。ハイライト機能などを使うことで、さらに地図上の表現力向上も図っています」と島澤氏。メッシュコードによる集計や傾向比較、アニメーション機能、モバイル端末で写真を撮ると自動で地図上に表示するなど、地図関連だけでも100を越える拡張がなされている。
もう1つ強化したのが、帳票レポート機能だ。
「BIとレポートは昔から切っても切れないものです。PDF形式で出力するなどは今までもできましたが、今回は帳票ソフトウェアのSVFとの連携を行いました。MotionBoardのデータを簡単にPDFやプリンターに出すことできます。SVFはデザイン性も高いので、今までのBIツールでは出せなかったような出力が可能です」(島澤氏)
印刷物のクオリティで出力できると島澤氏は言う。ウイングアーク1stでは、帳票を20年近くやってきたナレッジがありそれを今回BI製品にも投入したのだと。