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オールフラッシュはもはや高価なストレージではない

 ノートPCのストレージもSSDが主流になりつつある。それ以上にフラッシュ化が進みつつあるのが、企業などで利用しているエンタープライズストレージだろう。いまや多くのストレージベンダーがオールフラッシュのストレージを提供している。ユーザー側でも新規ストレージ購入の際には、確実にそれが選択肢に入ってきている。このような変化のあるストレージ市場で、元気が良いベンダーの1つがPure Storageだ。

Pure Storageは「箱」を売るのではなくストレージというサービスを提供する

 Pure Storageは、2009年に米国で設立、LinkedInやWorkdayなどのクラウドサービスベンダーなどにも多数採用されている。

 「Pure Storageという会社の市場価値は、30億ドル以上あると、投資会社のFidelity Investmentsが評価しています」――そう語るのは、先日来日して記者向け説明会を行ったPure StorageのCEO スコット・ディーツェン氏だ。ここのところは年間で300%以上の成長があり、過去にないほどの高成長率だとのこと。

 Pure StorageのCEO スコット・ディーツェン氏
 Pure StorageのCEO スコット・ディーツェン氏

 フラッシュストレージは注目されているが価格が高い、運用面などで既存の仕組みとの互換性という2つの障壁があった。この2つを克服したからこそ、いまの高い成長率があるとディーツェン氏。Pure Storageは、汎用的なMLCフラッシュメモリーを活用してコストを下げている。その上で十分な性能と信頼性、可用性を発揮できるよう力を入れているのが、ソフトウェアだ。インラインでの重複排除や圧縮を行うことで、容量単価をハードディスク・ストレージ並みに下げている。

 圧縮などで実行容量は拡大、ハードディスクベースのストレージだと冷蔵庫2台ぶんのスペースが必要な場合にも「Pure Storageなら電子レンジぐらいのスペースで済みます」とディーツェン氏。このスペース削減は、結果的には大きな消費電力削減になり、コストが5倍から10倍下がる。さらに大きくコストに貢献するのが運用の容易さだ。

 「もっとも大きな変化は、複雑性が削減されることです。他社の従来製品はマニュアルを参照しなければ使えませんでしたが、Pure StorageはIT部門ではないビジネス現場の人でも扱えます。運用が複雑だと昨今のクラウドコンピューティングの展開などとは、相容れません」(ディーツェン氏)

 プライマリーで利用しているストレージ容量250テラバイトごとに、Pure Storageに置きかえると人件費は半分に、その他年間約50万ドル相当のコストが節約できるとの試算もある。こういった効果により、従来型のハードディスク・ストレージはやがて淘汰される。「競合でもあるEMCがVNXやVMAXではなく、オールフラッシュのXtremIOに力を入れています」と、これもハーディスク・ストレージが淘汰されることの証明の1つだという。

次のページ
ストレージ市場にフォーエバーフラッシュという代替案を提供

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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