
大手自動車部品メーカーであるデンソー。同社では自動車の大競争時代での生き残りをかけ、ITの次世代化や基幹業務の刷新に取り組んでおり、一早くホストからOSSやクラウドに切替えてきたことで知られる。デンソーITソリューションズの代表取締役社長である今井孝雄氏は、「ホスト時代のITから、ネット時代のITにいかにシフトさせるか」「最新ITの中から何が本物かをいかに見極めるか」という課題に長らく取り組んできた。こうした挑戦を通して“目利き力”の重要性を実感したという。ITインフラストラクチャ&データセンターサミット2015での今井氏の講演「大競争時代におけるIT部門の生き残り 〜IT部門がこれから問われる目利き力とは」の内容を紹介する。
デンソーが次世代IT基盤への刷新に着手した理由
自動車業界にはいま2つの潮流変化と2つの構造変化が起きているという。市場が新興国へとシフトしニーズが多様化するという経済的な潮流の変化と、エンジンからモーターへという地球環境を考慮した潮流の変化がある。特に後者は長らく自動車部品を手がけているデンソーからすると、エンジンに関連する部品がなくなるという影響は大きい。

株式会社デンソーITソリューションズ 代表取締役社長 今井 孝雄氏
構造変化は流通構造の変化と経営構造の変化がある。流通構造は最適地設計や最適地生産が進み、「1対NからN対N」へと変化している。また経営構造は単独からグローバル連結となり、部分最適から全体最適へと変化している。
大きく根底から変化している自動車業界を今井氏は「世界的な大競争時代」と言う。これに対応していくには最新ITを駆使してビジネスのスピードと質を向上していく必要がある。具体的には次世代IT基盤への刷新とアプリケーションの再構築だ。

IT基盤はホスト系の基幹システムから、2000年になる前ごろからオープン系への道を歩み始めた。今井氏は日本でシステムのオープン化が形になる前、2001年からアメリカの統括会社へ出向するために一時的に日本を離れた。アメリカでは北米の情報部門を束ねるという経験を積んだという。今井氏が2004年に日本に帰国すると、問題ばかりのオープン化を目にしてしまうことになる。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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