Linux人材は売り手市場
平氏のLinux歴は長い。「今年で20年目」というのだから驚きである。1997年にあるパソコン雑誌に掲載されていた「OSをLinuxにすればパソコンは安定する」という記事を目にし、付録のCD-ROMを使ってLinuxのインストールに挑戦したのが始まりだそうだ。当時はまだ学生だったが、それからLinuxの知識、技術、経験を積み重ね、現在では、世界で大きなシェアをもつLinuxディストリビュータ[1]であるRed Hat社の日本法人(レッドハット株式会社)でエバンジェリストを務めている。
Linuxが世界に初めて登場したのは1991年のこと。1990年代後半から人気に火が付き、それから長い時間が経過しているが、まだ一般には馴染みが薄いかもしれない。しかし、社会基盤や企業の情報システムで、Linuxは今や欠かせない存在だ。調査会社のIDC Japanの発表よると、国内企業でのLinuxの利用率は67.3%に上るという。サーバーのOSとして使われるケースが主だが、ほかにも家電、ATMなど多様な機器で広く用いられている。身近なところではAndroidスマートフォン。Android OSはLinuxをベースに作られている。今後はIoT[2]向けのセンサーデバイスでも利用が増えると予想されている。
一方で、課題とされているのがLinux人材の不足である。Linuxを利用したサーバーや機器が増えるのは確実だが、Linux技術者の人数がそれに追いつかないのだ。つまり、Linuxのスキルがエンジニアとしてのキャリアに有利に働くのは間違いない。平氏は「いまLinux人材は売り手市場です。弊社でも定常的に採用枠がありますが、なかなか埋まらないくらいです」と話す。
注
[1]: Linuxを製品化して提供する企業のこと。
[2]: Internet of Thingsの略。「モノのインターネット」といわれ、電子機器やセンサーなどをインターネットに接続し、それらからデータを集めて活用する。生活空間から産業まで大きく変革することが期待されている。
Linux+1が好待遇の条件
一口にLinux人材といっても、Linuxに関わる業務は無数にある。運用ならサーバーOSを導入し、稼働状況を管理するのが役目だ。この場合、単にLinuxだけではなくインフラの知識が必要となるだろう。開発なら一般的なシステム開発のほか、ATM、通信機器、工場で使う機械制御など組み込み系の開発もある。
ただし、どの業務でも「Linuxを扱えます」というだけでは厳しいと、平氏は言う。……
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