「日本語が通じないのでは…」と思うくらい、話がかみ合わない顧客と出会うことはありませんか? その結果、いつまでたっても、合意が取れないケースもあるでしょう。今回はそんな場合の対応の掟について解説していきましょう。
日記:相手が理解できない状態を放置して…!
あるプロジェクトのスーパーバイザーを務めていた弁田君。当のプロジェクトリーダーから相談事がやってきました。製造フェーズも終盤だというのにいまだにスコープについて合意が取れずに顧客ともめている件があるとのことです。
リーダーの説明を聞いてみます。それによると、まず相手の言っている意味がわからないとのことです。相手の説明の意味がわからないというのです。こちらが説明をして、相手の言い分を待っていても、沈黙のままで何も返ってこない。それは不機嫌から答えを返さないわけではなく、どうも意味を把握しきれずに20秒間の沈黙に陥ってしまうことのようです。沈黙を破って口を開いたと思ったら、こちらの説明とは何の関係もない内容とのことです。
この説明を聞いて、弁田君は頭を抱えてしまいました。これまでどのようなコミュニケーションを取ってきたのでしょうか。おそらく双方が自分の解釈の中だけでプロジェクトを理解しており、多少の齟齬を感じてもお互いがそれを放置してきたのでしょう。「○○機能」という単語レベルの意味でしか合っていないようです。お互いの頭の中には「既にできあがったロジック」が存在しており、お互いがそのロジックに話の内容を落とし込んでいこうとしているようです。

弁田君はすぐに指示をしました「まずは争点を明確にすることだ。そして、どこで衝突しているのかレベルを明確にすることだ。今は片方が事実ベースの話をしている時に、もう片方はコンセプトの話をしているようなものだ。これではいつまで話しても埒が開かないぞ。どんなに時間がかかってもいいから、まずは争点と衝突のレベルだけを明確にしてくるんだ」。
弁田君は明らかにプロジェクトの状況を正しく把握するのに失敗していたようです。「スーパーバイザーと言っても、たまには現場に足を運ばないといけないな」と反省する弁田君でした。
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本園 明史(モトゾノ トシフミ)
1967年福岡県生まれ。法政大学経済学部卒業後、三菱電機東部コンピュータシステム株式会社に入社。契約エンジニア、ソフトハウスを経て、現在はウルシステムズ株式会社に勤務。
ビジネスとITのギャップを埋めるべく、発注側・ユーザ側の立場から、システム化計画立案、RFP作成・ベンダ選定支援、ベンダ管理、プロジェク...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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