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現場の「困った」を解決する!顧客対応の掟と極意

顧客を怒らせてしまった場合の対応の掟

第3回

プロジェクトの途中で顧客の怒りをかってしまい、困ったことがありませんか? しかし、目の前の顧客の怒りを鎮めようとするばかりに、誤った行動をとると取り返しのつかないことになりかねません。今回は顧客を怒らせてしまった場合の対応の掟について、解説します。

日記:顧客を怒らせた!?きつーい宿題要求!

弁田君
大丈夫か? かなりきつく言われたのか?
新人君
そうですね。まぁ、言われることは覚悟していたからよいのですが…
弁田君
どうした
新人君
変な約束をさせられちゃったんですよ。これから毎週報告する資料が増えることになってしまいました。それも自分が作れるものだったら全然構わないんですが、現場の開発者に負荷がかかっちゃうような報告書なんですよ
弁田君
それはよくないな。ただでさえ現場の負荷は高いんだから、そこはバリヤーをはっておかないと
新人君
そうなんです。ただ顧客が相当お怒りだったんで、断りきれませんでした
弁田君
まぁ、俺が行ってみるよ。いったん引き受けたものを断れるかどうかはわからんが

 弁田君が顧客に確認したところ、顧客はまずは現状に至った原因を知りたかったのですが、後輩君は原因にはまったく触れずに「きちんと対応します」「きちんとフォローします」の一辺倒だったとのことです。

 さらに、顧客が後輩君に「それではわかりません。原因は何ですか」と正すと、今度は細かい専門用語のオンパレードです。再びわからないと返すと、後輩君の口ぶりからは明らかに「面倒だなぁ、対応すると言っているのだから、それでいいだろう」といったニュアンスがありありと感じられたとのことです。ここで顧客はカチンときてしまいました。それが先ほどの報告書の要請に結びついたというわけです。

 弁田君がよくよく話を聞いてみると、もともと顧客のニーズは難しいものではなかったのです。顧客は単に原因を明確にしてくれて、不安を解消してくれて、今後の対応をきちんと説明してくれれば、十分納得するつもりだったのです。

 ところがますます不安になってしまうような答え方をされて、挙句の果てには面倒くさそうな態度を取られたということで、頭にきてしまったようです。顧客は口には出しませんでしたが、大方「あなたには任せられないから詳細な報告をあげてくれ。こっちで見るから」といったところでしょう。

 後輩君の態度が真意ではなかったことはわかります。しかし真意がどうであれ、顧客にそのように思われてしまったこと自体が問題です。いずれにしても謝罪して事情を真摯に説明すれば、そして今後の対応をきちんと説明すれば、巻き戻しは十分可能な状態です。時間を食うだけで意味がないドキュメント作成などは、最終的には顧客にとっても迷惑な話です。後輩君に対して心の中で舌打ちをしながらも、まずは一息をついた弁田君でした。

次のページ
掟その1:怒りに対して反論や約束をしていけない

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この記事の著者

本園 明史(モトゾノ トシフミ)

1967年福岡県生まれ。法政大学経済学部卒業後、三菱電機東部コンピュータシステム株式会社に入社。契約エンジニア、ソフトハウスを経て、現在はウルシステムズ株式会社に勤務。
ビジネスとITのギャップを埋めるべく、発注側・ユーザ側の立場から、システム化計画立案、RFP作成・ベンダ選定支援、ベンダ管理、プロジェク...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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