デジタル戦略のためのMDM
ビジネスのデジタル化が急速に進むいま、サービスレベルの向上や新たなビジネスモデルの創出に直結するデジタル戦略がより重要になっています。そのデジタル戦略の遂行、デジタルトランスフォーメーション推進の燃料となるのは、いわずもがなデータです。そして、そのデータ活用に不可欠なデータマネジメントを突き詰めると、マスターデータマネジメントに帰結します。
データの拡充は、購買履歴などのトランザクションデータ、ソーシャルメディアやコールセンターログなどのインタラクションデータ、デバイスやセンサーログなどのIoTデータというステップを踏むことにより、ビジネス価値を生み出す財産となるわけですが、その根幹にあるのはマスターデータです。あらゆるデータをつなぎ合わせるためのカギがマスターデータなのです。
GE、ハイアットに学ぶMDMの成功事例とは?
マスターデータマネジメントを導入し、ビジネストランスフォーメーションを実現した2つの成功事例を見ていきましょう。いずれもマスターデータをしっかり整備することで、さまざまなデータを拡充し、活用することで、新たなビジネスモデルの創出、サービスレベルの向上といったビジネス価値につなげたケースです。
成功事例1:新しいビジネスモデルへの転換(GEアビエーション)
世界で最も有名なIoTによるイノベーション事例のひとつ、GEの航空サービス事業であるGEアビエーション社ですが、その成功はマスターデータマネジメントなくしてあり得ませんでした。
ご周知のとおり、同社は従来の売切り型の販売モデルから月額や年額使用料でのサブスクリプションモデルへの転換や、これまでは航空会社の業務であった予防保全のアウトソーシングサービス、また膨大に蓄積された飛行データと、分析ノウハウを活かした飛行業務最適化サービスといったビジネス領域の拡張を実現しています。
たとえば予防保全サービスでは、個々のエンジンに搭載される大量のセンサーから飛行ログを取得し、各エンジンのコンディションを正確に把握、交換・修理が必要なユニットとタイミングといった整備ニーズを予測し、整備スケジュールに組み込むことで、航空機のダウンタイム最小化や整備スタッフ、パーツ配置の最適化をしています。
これを遂行するためには、どのエンジンがどの顧客のどの航空機メーカーのどの機体に載っていて、今どこからどこに飛んでいるか、どのようなサービス契約がなされているかといった、関連するあらゆるデータをつなぎ合わせなくてはなりません。
しかし、それは簡単なことではありませんでした。これらのデータはCRMやERP、整備システムなど複数の業務アプリケーションに散在し、断片化しているからです。これらのサイロ化したデータをつなぐために、同社ではMDMを導入し、製品マスターはもちろん、法人階層を含む顧客マスター、機体、ロケーションなど、さまざまなマスターデータを統合管理しています。
まさに、マスターデータを要にトランザクションデータからIoTデータまでをつなぎビジネス価値を生み出す、MDMがデジタルトランスフォーメーションを支えた好例と言えるでしょう。