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JETRO ニューヨークセンター所長 伊藤 元 氏インタビュー アメリカのグリーン政策と日本企業の可能性

  2010/03/26 19:10

オバマ政権発足後の米国のグリーン・ニューディールは、環境保護の面からだけではなく、世界経済レベルでのイノベーション政策として大いに注目を集めた。日本と同様に米国でも財政面での制約や環境規制強化に対する慎重論から、政策実現や法案化が停滞している面もある。しかし米国産業界はグリーン・ニューディールの下でグリーン・ビジネスに対する投資や事業活動を急速に拡大させており、世界経済投資の大きな牽引力になることは確実であろう。日本の産業振興と環境技術企業の普及のために、米国で活躍しているJETROのニューヨーク所長の伊藤元氏に話を聞いた。

日本のグリーンベンチャーを米国につなぐ

--米国でのJETROでの活動についてお聞かせください。

伊藤 私がニューヨークに赴任したのは2008年の8月。前職が環境担当の審議官であったこともあり着任早々から北米JETROの環境エネルギー産業への取り組みをスタートさせました。具体的には、連邦政府や州政府とのコンタクトや情報収集、環境エネルギー関連の展示会やイベントへの日系企業参加に対する支援、日本の環境エネルギー技術の積極的紹介、日米企業間のシーズとニーズのマッチング等を中心に事業を展開しています。

--日米の環境技術企業の投資に関する関心動向はどうでしょうか。

伊藤 例えばシリコンバレーは今やグリーンバレーとも呼ばれており、日本の環境エネルギー関連技術やグリーンベンチャーに対する米国のベンチャーキャピタル等の関心は高まっています。環境エネルギー分野における日米協力は官民を通じたテーマとなっており、ベンチャー投資家サイドとのネットワークを持ち、かつオバマ政権ともパイプを持つ米国の枢要な人たちが日本のグリーンベンチャーへの投資の橋渡しに取り組んでいます。

ただ一般的に、買い手(投資側)の人脈はシリコンバレーで形成できるのですが、有望なシーズサイド(投資先企業)を日本国内でどのように発掘し、米国に紹介していくのか具体的な方法論が描けていないのが現状です。

JETROのニューヨーク所長 伊藤元氏
JETROのニューヨーク所長 伊藤元氏

--日本のグリーンベンチャーは、かなり優秀で世界レベルにあるという人は多い。しかし投資側から見ると、どのように実用化されるか、投資後の出口戦略をどうするかのシナリオが描きづらいという声を聞きます。

伊藤 今後リスク許容度の大きい米国からの日本のグリーンベンチャーへの投資が拡大していけば、企業価値に対する日本国内外の評価も変わっていくのではないでしょうか。現時点では日本のグリーンベンチャーの評価額は米国のそれに比べるとまだまだ低い状況ですね。

今の日本国内の市場には、グリーンベンチャーに投資しても出口が見えない。一方、米国では極端な話、製品化や事業化に至っていない企業でも株価が高騰するケースがある。もちろん米国でも事業可能性がしっかり吟味されることは当然ですが、日本の有望なシーズ企業を集めて、米国のVC(ベンチャーキャピタル)にマッチングをしていくことはリスクマネーの厚みを増やす観点から重要であると思います。

現在JETROが主として手掛けているのは、既に具体的製品を有し、日本市場等で売上げを上げている企業の北米市場進出のお手伝いです。製品を米国に売り込みたいというニーズの企業群です。しかし今後はグリーンテック分野でアイデアや技術の段階で米国の投資家や企業とのアライアンスのニーズを持つ日本企業も増えてくると思います。

そうした可能性を考え、JETROとしては今後日本のグリーンベンチャーの米国とのアライアンス形成を強力に支援していきたいと考えています。もちろん、米国の場合もベンチャーに対しては特許や技術レベルの評価がかなり厳しいことも事実であり、意欲と高い技術を持つベンチャーの参加を期待しています。

--たとえば太陽光の分野で日本のグリーンベンチャーが単独で、米国での市場に参入するのは難しいかも知れません。米国の企業との差別化要素を持ち、逆に米国企業とジョイントすることで市場参入の機会を得るなどの可能性もあると思います。米国でのグリーン・ニューディールにともなう現状の投資動向はどうなのでしょうか?

伊藤 外側から見ているとアメリカの国内立法が進んでいないように見えますが、グリーンビジネスの現場ではものすごい勢いで投資もビジネスも動いています。一口にグリーン系の市場と言っても、日本と米国で大きく異なることを痛感します。

例えば新エネルギーで日本で真っ先に挙げられるのは太陽光発電ですが、米国では第一に風力、第二が地熱、第三が太陽熱、そして太陽光発電は四番目ぐらいです。将来的に太陽光が大化けする可能性もあるわけですが現時点でコスト競争力を反映した普及状況をみるとこの順番になるのです。

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  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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