この調査によると、大手銀行の経営幹部100名のうち99名が、2020年までにオープンバンキングへの大規模な投資を開始予定であると回答したという。
オープンバンキングとは、顧客の同意のもと、APIの連携などを通じて、銀行が保有する顧客データにノンバンクの第三者企業がアクセスできる仕組みになる。顧客は、第三者企業がそのデータを活用して提供するより便利なサービスを利用できるようになる。
一方、銀行はオープンバンキングのプラットフォームを活用し、プラグアンドプレイ(plug-and-play)の金融商品を、小売やフィンテック企業といった第三者企業に提供することで、新規顧客の開拓が可能になる。オープンバンキングは、デジタル時代の新しいビジネスモデルだとしている。
今回の調査では、北米の銀行の63%は、フィンテック企業やテクノロジー大手など新規参入企業と対峙する上で、オープンバンキングの導入は必要不可欠であり、顧客との関係性の維持にも役立つと考えていることが明らかになった。なお、ヨーロッパとアジア・パシフィック地域における、同回答の比率は、それぞれ51%と40%だった。調査対象となった経営幹部の52%は、デジタル変革への投資を進める他行との競争おいて、オープンバンキングを導入せざるを得ないと回答している。
ヨーロッパでは、2018年1月の改正決済サービス指令(PSD2)施行を前に、オープンバンキングの普及が加速している。顧客にとっては、自身の金融データを銀行や第三者企業と安全に共有することで、送金、金融商品の比較、口座の管理などが、銀行を介さずにより簡単に行えるようになる。ヨーロッパでは、オープンバンキングが規制要件となっている一方で、北米では市場競争によって銀行のオープンバンキング導入への関心が高まりつつあるという。
調査結果によると、66%の経営幹部はオープンバンキングによって、新たな収益源の創出が促進されると考えており、その中の90%の経営幹部は最大10%の収益アップを見込んでいる。
調査対象となった経営幹部の大多数が、オープンバンキングは脅威よりもむしろ機会をもたらすものであり、顧客が自行の商品にアクセスしやすくなるメリットがあると考えている。その一方で、多くの回答者が、オープンバンキングにより行外との接点が増えることで、セキュリティの脆弱性や詐欺の危険性などが高まることを危惧している。
主な調査結果は次のとおり。
・オープンバンキングを脅威よりも機会と捉えている回答者の割合は、ヨーロッパが71%に上るのに対し、アジア・パシフィック地域は63%、北米は60%だった。
・71%の回答者が、オープンバンキングによって、顧客1人ひとりのニーズに合った金融商品・サービスや提案を受けやすくなると考えている。
すでに一部の銀行では、直接的な関係をもたない顧客に対して、第三者企業の金融商品を販売している(北米37%、ヨーロッパ29%、アジア・パシフィック地域23%)。
・回答者の50%が、オープンバンキングの導入により、銀行業界でさまざまなリスクが高まる懸念を抱いている。ヨーロッパでは、リスクが高まると懸念した回答が63%に及んでいる。