PCは大企業や学校、自治体などでの買い替えサイクルが戻ってきた
これによると、2017年第3四半期の国内モバイルデバイス出荷台数は、前年同期比2.5%増の1,186万台となった。これは家庭市場向けが中心であるタブレット、ビジネス市場中心のPCの出荷がプラス成長になったことが大きな要因になる。
スマートフォン市場は、ビジネス市場へのスマートフォンの導入が進み始めたことや、Android端末の通信事業者向け出荷が好調に推移したが、iPhone 8の出荷が伸びなかったことで家庭市場向けがマイナス成長となり、6四半期ぶりの前年同期比1.5%のマイナス成長となった。また、PC市場も3.5%のプラス成長となった。
PCは、大企業や学校、自治体などでの買い替えサイクルが戻ってきたことから、ビジネス市場では前年同期比2.4%増と出荷を伸ばした。また家庭市場向けPCも、家電量販店での在庫整理がある程度一段落したことや新製品出荷により、前年同期比5.5%増の出荷となった。
タブレットは、家庭市場向け出荷が市場を牽引したことで、前年同期比18.8%のプラス成長となった。家庭市場向けタブレットでは、通信事業者向け出荷が市場を牽引し、同市場向け出荷は過去最高の出荷台数となった。また、ビジネス市場向けは、前年同期比のマイナス成長が続いているが、Windowsタブレットを中心とした大型案件が散見されるようになった。
2017年通年の出荷台数は前年比9.0%増の5,293万台と予測
2017年通年の国内モバイルデバイス市場は、前年比9.0%増の5,293万台と予測していまる。家庭市場向け出荷は前年比7.4%増の4,100万台、ビジネス市場向け出荷は15.0%増の1,192万台と予測される(端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾は一致しない)。スマートフォン市場は、ビジネス市場向けおよび家庭市場向け共に従来型携帯電話からAndroidベースの携帯電話への切り替えや、iPhone Xの出荷が進むことで、プラス成長となる。
PC市場は、家庭でのPC買い替えの大きなサイクルは今後期待されないものの、2017年以降緩やかなプラス成長が予測される。PCビジネス市場では、2020年のWindows 7のサポート終了に向けたWindows 10への切り替えおよび、買い替えサイクルによって2019年まで成長が続くことが予測される。
またタブレット市場は、今後も通信事業者向け出荷が市場を牽引するビジネスモデルは継続されると考えられ、家庭市場を中心に市場が維持される。しかしながら、ビジネス市場では生命保険会社でのタブレットの入れ替えや、学校案件などによって市場が底支えされるが、企業でのタブレット需要はPCとの差別化が進みにくい状況が続き、需要が減少すると予測している。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は「モバイルデバイス市場全体の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は2.2%と予測している。家庭市場は、スマートフォンやタブレットなど通信事業者経由での出荷が中心となるビジネスモデルは今後も続くことが予測され、これによって市場は牽引されると考えられる。一方ビジネス市場の中心はPCであり、企業では現在Windows 7からWindows 10への切替えの評価が徐々に完了し始めている。Windows 10への移行と共にPCの買い替えサイクルが高まり出荷が進むと考えられる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内モバイルデバイス市場 2017年第3四半期の分析と2017年~2021年の予測」にその詳細が報告されている。