2017年で85億円と小規模ながらポテンシャルの高い市場
厳しい設置環境でも動作するように設計された産業用ネットワーク機器市場は、決して新しい市場ではないものの、IoT(Internet of Things)の活用が進む中で関心が集まっている。また、ネットワーク接続されていない「グリーンフィールド」が産業用ネットワークには多く残されており、成長の余地は大きいとIDCではみている。
2017年の市場規模が85億円と大きな市場ではないが、2022年には224億円にまで拡大すると予測している。また、オフィスなどに導入される一般用企業向けネットワーク機器市場の成長率が、プラスマイナス1%前後とほぼ横ばいであることを考えると、産業用ネットワーク機器市場のポテンシャルの高さが分かる。
中心はイーサネットスイッチだが、ルーターと無線LANアクセスポイントが成長と予測
産業用ネットワーク機器市場を構成する製品セグメント別に見ても、いずれも大きな成長が見込まれる。2017年~2022年のCAGRは、産業用イーサネットスイッチが15.0%、産業用ルーターが57.6%、産業用無線LAN機器が65.6%と予測している。2017年の市場規模でみると、産業用イーサネットスイッチがほとんどを占めている。しかしながら今後、より高度で可動性の高い産業用ネットワークの導入が進み始めると、産業用ルーターと無線LANアクセスポイント市場も本格的に立ち上がるとみている。
グリーンフィールドを目指して新規参入するベンダーも現れている中で、「産業用ネットワーク機器市場に未参入の企業向けネットワーク機器ベンダーは、数少ない成長市場として参入を積極的に検討すべきである。一足飛びに最も厳しい環境に耐える製品を作る必要はない。防水防塵性能の強化や、DINレール対応といった新筐体の開発から始めればよいのである。ただし、長期間の戦いを覚悟して市場参入すべきである」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内産業用ネットワーク機器市場予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。レポートでは、2022年までの製品セグメント別市場規模予測に加えて、主要産業分野別でも分析している。また、産業用イーサネットスイッチ市場については、レイヤー/フォームファクター別に予測している。