3Dプリンター本体売上は2015年に続きマイナス成長
国内3Dプリンティング市場は、3Dプリンター本体市場、3Dプリンティングサービス(受託造形サービスと3Dプリンター修理/保守サービス)市場、および造形材料市場で構成されている。2016年の3Dプリンター本体の売上額は115億円(前年比成長率マイナス19.0%)、3Dプリンティングサービスの売上額は100億円(同プラス7.4%)、造形材料の売上額は57億円(同プラス9.4%)だった。3Dプリンター本体売上は、2015年に続きマイナス成長となり、3Dプリンティングサービスと造形材料の売上は増加したが、市場全体としてはマイナス成長となった。
IDCでは、3Dプリンティング市場は2017年にはプラスに転じ、2021年まで成長が続くと考えている。3Dプリンター本体市場のCAGR(2016年~2021年)は7.0%、2021年には161億円の規模になると予測している。
3Dプリンティングサービス市場と造形材料市場は、それぞれCAGR 6.9%、CAGR 21.0%、2021年の売上額はそれぞれ140億円、149億円と予測している。新しい造形技術や造形材料の開発が継続して行われており、これまで3Dプリンティングが利用されていなかった分野で活用され、新しい造形材料によってこれまで作製できなかった造形物が作製できるようになることが期待される。
2016年~2021年のCAGRで医療分野は18.5%、教育分野は13.6%の高成長を予測
産業分野別にみると、製造業が最大の市場で2016年には国内市場全体の76.8%を占めている。それにつぐ市場は医療分野と教育分野で、同じく2016年時点でそれぞれ3.7%、2.3%。これらの分野は、2016年~2021年のCAGRで製造業は10.7%、医療分野は18.5%、教育分野は13.6%と、非常に高い成長率が予測されており、2021年においても国内市場の大部分を占めると、IDCでは考えている。
IDC Japan イメージング、プリンティング&ドキュメントソリューション シニアマーケットアナリストの三谷智子氏は「3Dプリンティング市場の成長のためには、新しい造形材料の開発とともに、市場の70%以上を占める製造業において3Dプリンターを利用した製造プロセス変革や3Dプリンターによる最終製品の製造への移行を検討することが必要である」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内3Dプリンティング市場 産業分野別予測、2018年~2021年」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内3Dプリンター本体および関連市場の2016年の出荷台数/売上額の実績と2017年~2021年の産業分野別市場規模予測のほか、サプライヤーへの提言、市場の促進要因と阻害要因についての分析をまとめている。