2017年のシステム/サービス管理ソフトウェア市場は前年比成長率2.8%で2,707億円
2017年の国内システム/サービス管理ソフトウェア市場は、前年比成長率が2.8%で2,706億7,600万円となった。企業は、基幹業務システムなどのような従来のITシステムの管理に対する投資は維持しつつ、クラウド環境上に新たに構築したITシステムの管理に向けて新たにシステム/サービス管理ソフトウェアを導入している。
クラウド環境上では、特にITリソースやアプリケーションの状況を監視するソフトウェアや、ITサービスのプロビジョニングやワークロード管理を自動化するソフトウェアの導入が拡大している。2017年のベンダー別売上額シェアでは、日立製作所がシェア1位となった。2位にNEC、3位に富士通、4位にIBM、5位に野村総合研究所が続いている。
国内システム/サービス管理ソフトウェア市場の2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.0%、2022年には3,292億円に達するとIDCでは予測している(参考資料1)。今後、クラウド環境上のITシステムに対する運用管理の需要がさらに拡大し、それによってシステム/サービス管理ソフトウェアの導入が促進されるとIDCではみている。
クラウド環境では、アプリケーションとITサービスの最適化や管理、それに関連する管理プロセスの自動化を実現するソフトウェアの活用が拡大していく。また、もう1つの市場の促進要因として、システムログやパフォーマンスデータなど運用に関連する大量の情報を分析して運用を最適化するITオペレーション分析に対するニーズが増加するとIDCではみている。
ITオペレーション分析ソフトウェアを提供するベンダーのスプランク(Splunk)は、近年著しい成長を遂げている。今は多くのベンダーがITオペレーション分析をソフトウェアあるいはSaaSで提供しており、今後それらを活用する企業が拡大していくとIDCでは考えている。
SaaS採用が拡大し、国内システム/サービス管理SaaS市場は2022年で322億円に
国内では、システム/サービス管理SaaS市場が急成長している(参考資料2)。2017年では前年比成長率が50.5%、売上額が72億300万円となった。インシデント管理や問題管理を行うITサービス管理領域でSaaSの採用が進んでいる。
2017年のSaaS市場でシェア1位となったサービスナウ(ServiceNow)は、ITサービス管理領域を中心に大手企業への導入を拡大し、SaaS市場を牽引している。2017年~2022年のCAGRは34.9%、2022年には322億円に達するとIDCでは予測している。
今後はアプリケーションパフォーマンス管理やITオペレーション分析、ITサービス運用の自動化においてもSaaSの採用が拡大するとIDCでは考えている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は、「既に欧米のシステム/サービス管理市場ではSaaSが主流になりつつある。国内ではようやく認知され始めてきた段階であるが、初期コストの低さや保守が必要のないところ、最新の管理機能が使えるところなどSaaSのメリットに気づいた国内企業の導入がこれから急速に増えてくであろう」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内システム/サービス管理ソフトウェア市場シェア、2017年:拡大するSaaS市場」と「国内システム/サービス管理ソフトウェア市場予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。