同調査は、世界36か国のさまざまな消費者、業界、政府セクターにまたがる4,000名以上を対象に、5月に実施されている。同調査によれば、78%のブランドは店舗における消費者のテクノロジーの取り扱いに不安を抱いている一方で、同様の不安を抱く消費者は35%に留まることが明らかになった。
具体的な結果としては、消費者の80%がドローンや自動運転車による商品の配達を、また81%がチャットボットとのやり取りを受け入れると回答したほか、78%が将来的に拡張現実、仮想現実、複合現実アプリを使用して選んだ商品が自身に合うか、家具が自宅でどのように見えるかといった、商品の外観を確認するようになると考えている。
さらに、消費者の56%が2025年には複合現実デバイスを利用して、離れた場所を訪れたり、休暇やエンターテインメント・イベントを楽しんだりすると考えており、10人に8人がオンラインショッピングやスマートホームコントロールにGoogle HomeやAmazon Alexaのようなスマートアシスタントを利用し、78%がウェアラブルデバイスを使った他のデバイスのコントロールが可能になる将来を予測する。
これらの結果から、SASはブランドと消費者の考え方のギャップが、ともすればブランドの成長を抑制する要因になりかねないと警告。消費者の受容レベルの高さは、ブランドにとってはカスタマーエンゲージメント拡大の新たな機会となる一方で、ブランドにはコンシューマーテクノロジーとマーケティングテクノロジーの間に存在するギャップを埋めるための、新たな機能が求められると考えている。
ブランドに対して、2030年のカスタマー・エクスペリエンスを主導し、顧客満足度を向上させるべく、現在投資を行っている未来のテクノロジーについて尋ねた質問では、62%のブランドがカスタマーエンゲージメント向上のためのカスタマーサポート資産として、音声ベースのAIアシスタントに投資しており、58%が内部マーケティングおよびセールス資産として音声ベースのAIに投資していると回答した。
また、54%のブランドは、消費者が商品やサービスの外観や使用法をリモートで視覚化する手段として、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)に投資しており、53%が商品の使用法を顧客が学ぶ手段としてのAR/VRツールに注目している。
そのほか、83%のブランドが店舗内広告、インタラクティブゲーム、パブリックイベントのためのホログラフィックテクノロジーに、すでに投資している、または投資を検討していると答えた。顧客ロイヤリティの向上を図る要因として、現在は58%のブランドが、商品が高品質であることを挙げる一方で、ほとんどの消費者は低コストまたは割引と回答している。しかし、2030年においてロイヤリティを向上すると消費者が考えるテクノロジーとしては、モバイルアプリ、高速アクセス、スマートホームシステムからの発注が上位となった。
個人データの取り扱いに関する質問では、ブランドによるデータの機密保持を信頼している消費者は54%に留まり、73%の消費者は自身の個人データ利用が「制御不能」であると考えている。
なお、ブランド側でも59%が顧客情報の保護がCX確保においてもっとも重要と答えているものの、84%がプライバシーに関する政府規則の変更と、それに適合するための自社の準備に懸念を抱いているという。