日本能率協会は、企業が抱える研究・開発やイノベーションにおける課題や現状を明らかにし、今後の経営方針の策定や戦略立案、研究・開発部門のマネジメント施策の検討に資する情報を提供することを目的に、全国主要企業の研究・開発部門の責任者を対象に実施した「日本企業の研究・開発の取り組みに関する調査(CTO Survey 2020)」の結果を、4月21日に発表した。
「日本企業の研究・開発の取り組みに関する調査」は、JMAの開発・技術部門評議員会社およびCTOフォーラムへの参加企業、サンプル抽出した全国主要企業の研究・開発部門の責任者(CTO)、計2279社を対象に、1月22日~2月14日の期間に行われ、244社から有効回答を得ている。
調査対象の企業に、研究・開発部門で重視する課題を尋ねたところ、「経営戦略・事業戦略との一貫性ある研究・開発テーマの設定」(54.1%)、「研究・開発成果の製品化・事業化率の向上」(45.5%)、「オープンイノベーションの推進」(35.7%)が上位となった。
2019年に経営トップを対象に実施した調査の、同じ質問に対する回答と比較すると、CTOの重視度が高い項目は「経営戦略・事業戦略との一貫性ある研究・開発テーマの設定」「研究・開発成果の製品化・事業化率の向上」である一方、経営トップの重視度が高い項目は「研究・開発部門の人材獲得・育成」「デジタル技術の活用」「ベンチャー企業等に対する出資・M&A」となっている。
CTOの任命状況を尋ねた質問では、「専任で任命されている」が17.6%、「他の役職との兼務で任命されている」が27.9%と、約半数の企業がCTOを任命していることがわかった。なお、従業員数3000名以上の大企業では、CTOの任命率が55.3%と半数を超えている。
CTOになる上での業務経験は、現任のCTOの業務経験では「本社の研究・開発部門」(73.9%)、「商品開発部門」(50.5%)、「ビジネスユニットの研究・技術部門」(48.6%)の比率が高く、本来望まれる業務経験と比較すると「経営戦略・事業企画部門」「マーケティング部門」で現状との差異が大きい。
CTOに求められる業務について、現状と今後の重要度が高まるものを比較したところ、「SDGsや社会課題解決に資する研究・開発活動の推進」「全社的なイノベーション戦略の策定・実行」の重要度が今後高まるという結果となった。